Out of Office サラリーマン週末旅行記録

とあるサラリーマンの週末旅行記&搭乗記。2022年より米国在住。

2019年6月 韓国旅行 まとめ

昨年乗り継ぎ時のソウル1泊で韓国デビューは果たしましたが、韓国を目的地とした旅行は今回が初めて。行き先には済州島を選び、韓国最高峰である漢拏山の登山に行ってきました。(尤も、韓国としては北朝鮮領も自国領という建前のため、それに基づくと中朝国境にある白頭山(2,744m)が最高峰ということになるのですが、実質的には漢拏山が最高峰と言って問題ないと思われます。)

結果、無事登頂は達成したものの天気に恵まれずに眺望は皆無、下山中は雨にも見舞われるという残念な内容。それでも、最近済州島で話題のイエメン人難民と交流したり、美味しい韓国料理を食べたりと、登山以外の部分では意外と楽しめた旅行でした。

 

【フライト】

往復共に金浦経由で済州まで。往路の日韓区間のみアシアナ航空、それ以外の3区間大韓航空を利用しました。BA欧州発券の韓国行き航空券のうち、日韓区間の部分を今回は利用しています。(今年春以降の予約からは、BA欧州発券の韓国行きは東京ストップオーバーが不可になってしまいました、残念。)

復路はもともと済州から成田への直行便を予約していたのですが、大韓航空の機材変更によりビジネスクラスの設定が無くなってしまったため、金浦経由に振替。今回のチケットの発券元はBAだったので、BAとKEそれぞれに問い合わせるとお互い相手に責任を押し付けてばかりで振替に手間取りましたが、1ヶ月ほど交渉して結局KE側でKE区間だけ別の航空券に切り出す形でリイシューしてもらえました。

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旅行記

1日目:アシアナ航空 OZ1055 羽田〜金浦 ビジネス

1日目:大韓航空 KE1229 金浦〜済州 エコノミー

1日目:旧済州・町歩き

2日目:漢拏山(ハルラ山)登山 (1) 観音寺登山口〜東稜頂上

2日目:漢拏山(ハルラ山)登山 (2) 東稜頂上〜下山

2~3日目:城山日出峰

3日目:大韓航空 KE1220 済州〜金浦 ビジネス

3日目:大韓航空 KE709 金浦〜羽田 ビジネス

 

3日目:大韓航空 KE709 金浦〜羽田 ビジネス

無料バスで国内線ターミナルから国際線ターミナルへ。エスカレーターで2階に上がると、目の前が大韓航空のカウンターでした。今回は済州で既にボーディングパスを入手済みなので、ここはスルー。

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エスカレーターで更に1つ上の階へ上がって出国。以前は大韓航空アシアナ航空共にラウンジは出国審査の手前に位置していたのですが、現在では制限エリア側に移動したようです。

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保安検査と出国審査を通過して制限エリアへ。以前利用した時は記憶にないようなエリアがオープンしていたので、改修があったのかもしれません。奥の上階部分に窓が付いているところが大韓航空のラウンジです。

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入り口は裏側に回り込んで階段を登った先。JALや中華系のエアラインの指定ラウンジにもなっているようです。スターアライアンスメンバーである中国国際航空もアシアナではなくこちらのラウンジを指定しているのは意外。

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出発までまだ時間があるため、内部はガラガラでした。

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中央にはビュッフェラウンジが構えます。以前はホットミールはほとんど無かった記憶があるのですが、移転して内容も少し改善したようです。

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ゲート付近は改修前と変わらず。低い天井に建物の年季を感じさせます。

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この日の機材はB777-300。短距離にも関わらずこの大型機が投入されていることに、政治問題に関わらず日韓路線の需要の太さを感じさせます。ビジネスクラスもほぼ満席でした。

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席に着くとウェルカムドリンクのサービスあり。ちなみに日系2社ではこのサービスはありません。

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ドアクローズ後も特に待たされることなく、スムーズに離陸。

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機内食はいつも通りビビンバと洋食の2択。

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もちろんビビンバを選択。今回は白米ではなく赤飯だったせいか、いつものパック入りではなく、最初からこの状態でサーブされました。

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飲み物は赤ワイン。相変わらず白ワインは積んでいない大韓航空の日韓線です。

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最後列だったせいもあってか、機内食がサーブされたのは隠岐島上空あたり。雲もかかっておらず島影がくっきり見えます。

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機内食が片付けられたしばらくするともう着陸態勢。隠岐と違い、東京は梅雨時らしく曇り空でした。

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3日目:大韓航空 KE1220 済州〜金浦 ビジネス

城山から112番のバスに乗って空港まで直行。バス内にWi-Fiが完備されており、さすがIT大国の韓国でした。

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空港から見えるのは漢拏山。昨日登頂した時は雲の中でしたが、今日は山頂まではっきりと見えます。山の天気は運次第ですが、今回は運が無かったということでしょう。

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済州空港はヤシの木を生やして南国の雰囲気。さすが、韓国のハワイと言われるだけあります。

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大韓航空のチェックインカウンター。帰りはビジネスクラスなので、優先カウンターが使えます。金浦から先の羽田行きのボーディングパスまでここで発券してもらえました。

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それにしても圧巻のカウンター数。さすが世界一の乗客数を誇る路線である金浦線を抱えるだけあります。

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ちなみに、搭乗便のKE1220便とその後に続く金浦行きの便の一覧。1時間ほどの間にこれだけの便が出発する訳ですが、12:15発のチェジュ航空に1席空きがある以外は全て満席。本当に韓国人の済州好きは相当のものです。

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大韓航空のラウンジは保安検査の前。少し奥まった目立たない場所にあるので、意識しなければ気づかず保安検査に進んでしまいそうな感じです。

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中は椅子が並ぶだけ。国内線ラウンジならこんなものでしょうか。

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スナックは数種類。

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保安検査に向かうと、その前に外国人の場合パスポートチェックがあります。済州島はビザ無しプログラムでほぼ全ての国のパスポート保持者が入国可能なので、そうした人達がビザ無しのまま韓国本土に行くのを防止するための措置とのこと。日本人には関係ありませんので、パスポートを提示すれば問題なく通過出来ます。

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制限エリア内の免税店も、デパートと見間違うほどの広さ。国内線なのに免税というシステムは少々謎ですが、済州島はそうした税制優遇地域に指定されているのかもしれません。

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行きに続き、帰りもバスゲートでした。特にビジネス乗客用の専用バスがあるわけでもなく、エコノミー客と一緒に搭乗。機材はこの路線にしては小さめのB737-900です。

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搭乗すると、往路と同様にワゴンに載った新聞の配布。太っ腹な大韓航空です。

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座席に着くと、搭乗客名簿で私が日本人であることを把握していたのか、ビジネスクラス担当のクルーが最初から日本語でジャケットを預かるか尋ねて来ました。さすが韓国のエアラインは日本語スピーカーが多いです。

サービス自体は簡素で、国内線だからか特にウェルカムドリンクも無くそのまま離陸。

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離陸後も、国内線だとビジネスクラスでも食事のサーブは無く、ドリンクサービスのみ。基本的に座席以外はエコノミーと変わりません。

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済州島離陸後はそのまま北上し、朝鮮半島の南西端へ。入り組んだ海岸線で、日本の瀬戸内海辺りに似た雰囲気でしょうか。

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そして到着前には朝鮮人参茶。以前大韓航空に搭乗した時にも到着前に出てきて、その独特な味に苦しんだのですが、今回も受け取ってからそのことを思い出しました。決して飲めない味では無いのですが、やはり慣れません。

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ソウル上空。こうして見ると、屋根が緑色の建物が大半を占めることに気づきます。これは何か特別な意図があるのでしょうか。

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金浦空港に到着。イミグレも無いのでそのまま到着ロビーに出たら、国際線ターミナルへ移動です。

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2~3日目:城山日出峰

漢拏山から済州市内に戻ったら、ホテルで荷物をピックアップしてからバスターミナルへ。ここから城山へ向かいます。

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済州島のバス路線網。この通り島内はバス路線が発達しており、大体のところにはバスでアクセス可能なため個人旅行者にも便利。しかも運賃も安価です。

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済州バスターミナルから城山まで行くのは211番と212番。空港発の111番・112番もありますが、今回はバスターミナル始発のこちらを選びました。211と212、111と112はそれぞれ途中のルートが違うのですが、最終目的地はどちらも城山なので、次に出発する方に乗れば問題ありません。

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16:40発の211番に乗り、18:00前に城山に到着。今夜の宿はCo-op City Hotelです。

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シャワー・トイレ付きで1泊39,600ウォン(=約4,000円)。ベッドだけという狭さですが、清潔感があり快適に過ごせます。

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また、ホテルの1階にはセブンイレブンが入っているのも便利。

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ホテルの前からは城山日出峰がすぐ見えます。あそこには明朝登ることにして、この日はとりあえず夕食のレストランを探しに市内へ。

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済州島の名物といえば黒豚。適当な焼肉屋を見つけたので入ります。1人前の黒豚をオーダーすると、まずテーブルに並べられたのは例の小皿類。このテーブルに乗っているもの、ビール以外は全て黒豚の料金に含まれているわけです。一人旅だと食事のバラエティに欠くケースが多いですが、韓国ではその心配はありません。

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そして出てきたのがこの肉の塊。1人前200gが鉄板にドンと置かれます。肉の脇に置かれた小皿の中にあるのは魚介類系の塩辛のタレで、これも一緒に鉄板で温めて肉につけるのが済州流だそう。

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焼いてくれるのは店員のおばちゃんの役目。こちらが放っておいても、手際よくハサミで肉をカットして食べやすいサイズに切るところまでやってくれました。これで18,000ウォン(=約1,800円)なら安いものでしょう。

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店名は読めませんが、店の前の黒豚の像が目印。店員のおばちゃんも英語は不可で愛想はイマイチなものの手際は良く、当たりの店でした。

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翌日、城山日出峰へ。済州島の最東端にあり、その名の通り日の出を見るのに適したところなのですが、6月ということで日の出は5時過ぎ。天気も曇りがちということでそこまで早起きする気力は無かったので、自然体で7時半頃に向かいました。

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入場料は2,000ウォン。但し、この注意書きを見ると、2019年7月1日以降は5,000ウォンに値上げされるのかもしれません。韓国語は読めないので想像ですが。

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この城山日出峰も昨日訪れた漢拏山と同様に世界自然遺産の構成要素の1つです。

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漢拏山に比べると登るのは随分簡単で、綺麗に整備された階段を登るだけ。途中で分岐点があり、左が往路用・右が復路用です。漢拏山と違い登山経験の無い人も気軽に訪れる場所なので、このようにしっかり分かれていた方が、混雑時も人の流れがコントロールしやすいのでしょう。

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登りがキツいと感じる人も、途中に休憩の東屋があるので安心。

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距離は短いですが、標高差が約150mあるため、最後の方はそれなりに急登。

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15分ほどで頂上に到着。頂上はこのように東向きの段状になっており、日の出のタイミングでは座って日の出を眺める観光客で混雑するようです。

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正面に広がるのは火口跡。ここは漢拏山のように池は形成されておらず、平らな台地が広がっています。残念ながら、この中に下りていくことは出来ません。

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反対側から見下ろすと城山の町。

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元々は城山の町の部分も含めて済州島本島とは離れた島だったのですが、この城山日出峰が噴火により出現して以来、少しずつ波に削られた日出峰の土砂が波に運ばれて堆積し、このように砂州となって本島と繋がったそうです。確かに、言われて見ればそのように見えなくもありません。

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下山路はこちら。こうやって見下ろすとやはり結構な標高差でした。

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奥に見える島は牛島(ウド)と呼ばれる離島。城山から船で向かうことが出来、一応観光地になっているそうです。

手前に見える建物では、1日に数回海女さんによる漁のショーが行われるそう。完全に観光客向けのパフォーマンスらしいので、あまり興味が惹かれるものでは無さそう。

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下山後、帰国便に乗るために空港に向かわなくてはいけませんが、その前にバス停近くの食堂で朝食。

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ここも韓国人のおばちゃんがキッチンも接客も1人で切り盛りする典型的な個人経営の食堂。例のごとく英語は通じませんが、メニューに写真が載っていたのと、先客の韓国人が英語を理解して通訳してくれたのでなんとかなりました。

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メニューでは下から2番目の8,000ウォンの赤いスープを注文。先客の韓国人曰く、これはキムチチゲという料理のよう。名前は聞いたことがあります。見た目ほど辛くなく美味しかったですが、スープの中には野菜と豚肉がたっぷり入っており、朝に食べるには十分過ぎるほどの内容でした。

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2日目:漢拏山(ハルラ山)登山 (2) 東稜頂上〜下山

東稜頂上に到着すると、まず驚いたのは登山客の数。登ってきた観音寺ルートはそこまで人が多くなかったのですが、週末ということもあり反対側の城板岳ルートは大人気だったようです。

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そして目を奪われたのが、この大量の登山客が揃いも揃って並んでいる大行列。ディズニーランドのあとランクションも顔負けで、軽く100人以上は並んでいます。

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この大行列の先にあるのは何かと言うと、頂上であることを証明する石碑です。この石碑と一緒に記念撮影をするためにこれだけ多くの人が並んでいるのでした。1人30秒としても30分以上は行列に並ぶことになりますが、写真好きの韓国人らしい行動です。

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ちなみに、石碑に書いてある"白鹿潭"というのは山頂のすぐ下に位置する池のこと。漢拏山は火山なので、典型的な火口湖です。

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ただし、この日の天候では池の方を覗いても、残念ながらこの有様。

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それでも、10分ほど粘っていると、少しずつ霧が晴れてきて・・・

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そして、白鹿潭が姿を現しました。数分見えただけでまた霧の彼方へと消えていってしまいましたが、この天候であれば見えただけでもラッキーでした。

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観音寺登山口のドライブインで買ったキンパでランチ。日本の太巻きと似ていますが、ご飯に酢は使っておらず、韓国料理らしくごま油の風味がします。具材は沢庵、卵焼き、スパム等でしたが、これは出す店によってマチマチだそう。このサイズで2,000ウォン(=約200円)とかなりお手頃です。

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頂上の天候もイマイチなままなので滞在は30分ほどで早々に切り上げ、12:10に下山開始。下りは城板岳ルートを使って下山します。やはり、こちらはかなりの交通量。

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城板岳ルートは合計9.6km。距離こそ観音寺ルート(8.9km)より少々長いですが、急登が少なく登りやすいと言われているため、こちらの方がメインルートになっています。

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ただし、登山客が多すぎるため渋滞になることもしばしば。

韓国人の登山者は全体的にかなりペースが遅め(日本人の中高年と同じくらい)です。こちらのペースで行くとどうしてもすぐに前を歩く登山者に追いついてしまうので、彼らを追い抜こうとするのですが、登山中に道を譲る文化は韓国には無いのかこちらに気づいても全く気にする素ぶりを見せません。

結局、少し道幅が広くなる所で回り込んで追い抜くしかなかったため、このように登山道が細い区間では彼らに付いていくしかなく、ペース配分に少し苦労しました。

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12:45〜12:50、ツツジ畑小屋で休憩。ここも無人小屋で売店等はありません。城板岳ルートは観音寺ルートと違い途中に水場も全く無いので、水の追加補給は全く無し。最初から多めに準備しておいた方が良さそうです。

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下れば天候も回復するかと思いきや、雨は止む気配を見せないので、写真を撮ることもせずひたすら下っていきます。中盤を過ぎると大体の登山客は追い抜いたのかやっと周囲も静かになり、霧に包まれた物静かな登山路はそれはそれでまあ良い雰囲気でした。

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13:30〜13:35、第1避難所で再び休憩。ここも無人です。

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14:20、城板岳登山口へ下山。途中にはサラオルム展望台への分岐ルート等もあり、晴れていれば立ち寄ったりしてもよかったのですが、この天候なので断念。雨の中を黙々と歩き、下りの9.6kmは2時間10分というなかなかのハイペースで歩いてしまいました。

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こちらの登山口にはビジターセンターがあり、登山客以外も立ち寄れるようになっています。UNESCOのマークも掲げられている通り、漢拏山一体は世界自然遺産にも登録されています。

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ビジターセンターの食堂。登山中はキンパしか食べていないので、ここでランチにします。

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Hangover soupというのも気になりますが、ここは安全にUdonを選びました。

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出てきたのは日本のうどんとほぼ同じ。こういった単品メニューでもキムチが付いてくるあたりはさすが韓国です。

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城板岳登山口は済州と西帰浦を結ぶ幹線道路沿いにあるため、バスは頻繁に通っています。帰りも5分ほどの待ち時間ですぐに乗車出来ました。

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2日目:漢拏山(ハルラ山)登山 (1) 観音寺登山口〜東稜頂上

2日目は1日かけて韓国最高峰である漢拏山登山へ。

漢拏山は標高が1,950mあるのですが、残念ながら安全上の理由で山頂付近は立ち入り禁止。1,920m地点の東稜頂上までしか行けません。さらにややこしいのが、登山ルートは5つあるのですが、そのうち東稜頂上までたどり着けるのは城板岳ルート(下図で青色)と観音寺ルート(下図で赤色)の2つのみで、残りの山頂近くを通らない3ルートとはお互いに接続していないのです。

今回は、登山客が比較的少ないという観音寺ルートから登り、人気のある城板岳ルートから下山することにしました。

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朝7時前にホテルを出発。登山口まではバスに乗って向かいます。韓国ではGoogle Mapは精度がイマイチですが、韓国独自のNAVER mapというアプリ(英語・日本語有り)がGoogle Mapとほぼ同等の機能を持っており、これで調べればバスの時間もしっかりわかるので便利です。

城板岳ルートの登山口へはバスが頻発している一方、観音寺ルートの方は1時間に1本しか運行していないので、事前のスケジュールチェックが肝心。

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途中1度バスの乗り換えを挟み、7:30過ぎに到着。本来ならここから漢拏山が正面に見えてもおかしくないのですが、6月は日本と同じく梅雨のため、残念ながら曇天です。

ちなみに、同じバスからこの登山口で降りたのは、私以外には欧米人の登山客1組のみ。週末だったにも関わらず静かな環境で登れそうなのはラッキー。

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バス停を降りると登山口とは道を挟んで反対側にあるドライブインで、頂上で食べるランチ用のキンパ(韓国風海苔巻き)を購入。水やスナック菓子等もここで調達可能です。

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登山口の看板によると、観音寺ルートは頂上まで8.9km。所要時間は往復で8~9時間なので、登りのみだと5時間くらいでしょうか。

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7:50、トイレを済ませて登山開始。

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漢拏山一帯は夜間滞在は許可されておらず、日帰り登山のみ可能。そのため、登山口とルート途中の小屋にそれぞれカットオフタイムが設定されており、この時刻を過ぎるとそれ以上先に進めなくなります。観音寺ルートの場合は、三角峰避難所を13:00までに通過しないといけません。

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ルートのところどころにこのような標識があるので、どれくらい進んだか把握しやすいのは便利。区間ごとにの難易度によって色分けされており、緑→黄→赤の順に難度が上がります。最初の2.3kmは緑色なので簡単。

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こんな感じの緩い勾配の登りが続きます。

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この辺りは一般の観光客も気軽に散策することを想定しており、付近の植生を説明する看板もたくさんありました。日本語表記もあるので立ち読みしながらゆっくり進みます。

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最初の2.3kmは1時間弱で通過。赤色で示された区間に入ると、途端に急登が始まります。

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8:50〜9:00、タンナ渓谷避難所に着いたところで10分ほど休憩。ここまではちょうどコースタイム通りの1時間でたどり着きました。この小屋は閉まっており、中に入ることは出来ません。

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赤色区間も最初の階段は急登でしたが、それ以外はずっと登りが続くというわけでも無く、緩やかな傾斜の区間も多くあります。

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9:23、1982年に発生した飛行機墜落事故の現場に到着。登山ルートから150mほど逸れたところに犠牲者の慰霊碑が置いてあるとのことなので、立ち寄ることにしました。

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登山ルートからは数分で到着しました。墜落したのは当時の全斗煥大統領が済州島を訪問した際に同行した大統領警護隊を乗せた輸送機で、53名が全員死亡したとのこと。慰霊碑は花も手向けられた綺麗な状態で、定期的に整備している人がいるようです。

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10:15〜10:35、三角峰避難小屋に到着し、20分の休憩。タンナ渓谷避難小屋からここまではコースタイム2時間40分のところ、実際にかかったのは慰霊碑への立ち寄りを含めても1時間15分でした。赤色区間ということでコースタイムはかなり多めに設定されていたようですが、そこまでキツい登りでは無かったという印象です。

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名前の通り、真後ろに聳えるのは三角峰。天気は相変わらずパッとせず、到着時はくっきり見えていた三角峰も、10分ほどであっという間に雲に覆われていってしまいました。

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ここの小屋は扉が開いており、中で休憩することも可能。ただし常駐しているスタッフはおらず、売店等もありません。あるのはトイレのみ。

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ここより先へ進む場合のカットオフタイムが13:00。朝早く出た甲斐あり、余裕でクリアでした。

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三角峰避難小屋から先はしばらく平坦。崖沿いを進みますが、きっちりとルートは整備されており楽々歩けます。

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10:45、このルート唯一の水場。反対側の城板岳ルートには水場が無かったので、持参した水量に余裕が無い場合はここで汲んでおいた方がベター。

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水場のすぐ先には吊り橋。

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下の川はほとんど涸れていました。ここも晴れていれば景色が奥まで広がっていそうなのに、天気が残念です。

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橋を渡った先に唐突に現れる壺を背負った女性の石像。この像、済州島の至る所で見かけたので、何か特別な意味があるのかもしれません。ここまで持ってくるのはさぞ重かったことでしょう。

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橋を渡って10分ほど登った先にある踊り場。ここにはかつて小屋があったそうなのですが、2007年の台風で跡形も無く破壊されてしまったとのこと。

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写真を見る限りはかなり堅固そうな小屋です。これが崩壊してしまう程の嵐とは、山の天候の厳しさを端的に表していると言えます。

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ここから先も再び赤色区間。距離は短いですが、こちらの方が最初の赤色区間よりも急登が多かったです。

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山頂が近づくと森林限界を超えた様子で周りの植生がガラッと変わります。ここも本当は景色が良いはずなのですが・・・

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11:40、雲に囲まれた東稜頂上着。コースタイムよりは幾分早く、4時間弱で登頂しました。

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続きは次の投稿へ。

1日目:旧済州・町歩き

済州島の中心都市は名前もそのまま済州市。その中でも昔から発展していた旧済州エリアと、最近開発が進む新済州エリアに分かれています。新済州は大型ホテルやカジノ等があるらしいですがその他にあまり見所も無さそうだったので、今回は旧済州に宿を確保しました。

宿泊したのはスターズホテル済州ロベロ(Staz Hotel Jeju Robero)。現地ではスターズと言うよりもロベロと言った方がわかりやすいようでした。

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1泊4,000円弱の普通のビジホです。洋室ですが、入り口は段差がついていてここで靴を脱ぐようになっていました。

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チェックイン後は遅めのランチへ。TripAdvisorを覗くと、ホテルのすぐ近くに済州市内でもトップ3に入る高評価の食堂があったのでそこへ向かいました。店名はUjin Haejangguk、日本語表記だとウジン・ヘジャングクという感じでしょうか。

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来店したのは3時半頃なのですが、かなりの人気店らしくこの時間でも満席。店員さんに番号札を渡され、外で待つように言われました。ただ、番号が呼ばれるのは韓国語のみなのが難点で、周りの客に目を配りながら、常に何番が呼ばれているかを把握しておかないといけません。

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15分ほど待って入店。片言の英語を話す元気の良いおばちゃんが案内してくれたのはテーブルではなく座卓でした。

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メニューは英語、日本語共に用意があるので安心。韓国料理には詳しくないのですが、一番上に書いてあるのでオススメメニューなのであろう、ユッケジャンを注文します。まあ、それしか聞き覚えのあるメニューが無いという理由でもありますが。

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まず出てきたのは付け合せ類。韓国料理定番の付け合せの小皿ですが、これに関してはいつも不思議に思うことが。

他の客のテーブルを見ても、少し手をつけることはあっても付け合せを全て食べる人は稀なようなのですが、余った残飯は全て処分しているのでしょうか。そうだとするとかなりの量の生ゴミが発生してしまいますし、もしかして使い回しをしているのではないかという疑問です。キッチンの中は見えないので真実は謎ですが、知らない方が良いのかもしれません・・・

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そしてメインのユッケジャンの登場。なんとなく、ユッケジャンという言葉からイメージされる料理は私の中では"赤色"なのですが、想像に反して出てきたのはこんなものでした。色の通り辛さはほとんど無いのですが、牛肉の風味がよく染み込んでいて評判通りの味でした。これで付け合せも含めて9,000ウォン(=約900円)はお得でしょう。

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食後は町をぶらぶら。中心部には日本にそっくりの商店街があるのですが、どういうわけかほとんど人がいません。店は開いているので日本のようなシャッター街ではないのですが、どことなく寂れた雰囲気。

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地下商店街もあります。ハングル文字さえ除けば、日本の地方都市と言われても信じてしまうような光景。

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ただし、このようにPLASTIC SURGERY(美容整形)の広告が堂々と出ているのは、韓国ならではの風景でしょう。

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済州名産の黒豚を取り扱う、その名も"BLACK PORK STREET"。黒豚通りといったところでしょうか。観光客向けのレストランが並びます。

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海岸沿いには海鮮料理店も。ただ、どこも人がおらず賑わいに欠けます。建物の古びたものが多く、町全体がすでに最盛期を過ぎたかのようなイメージ。ソウルから5分間隔でフライトが飛んでいるにも関わらず、あれだけの観光客はどこに行ってしまったのでしょうか。

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唯一、それなりに賑わっていたのは東門広場。よくあるアジアの市場という雰囲気の場所です。こういった場所は日本にはあまり無い気がします。

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港町らしく海産物がたくさん。刺身のような生魚の切り身がラッピングされて売っていましたが、韓国にも刺身を食べる文化はあったのでしょうか。初夏にも関わらず冷蔵でなく常温で置いてあるのが気になりますが。

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話は変わりますが、済州島で最近ホットな話題と言えば、イエメン人難民のイシューでしょう。昨年(2018年)の1年間だけで500人を超えるイエメン人が一気に済州島に到着して難民申請をし、韓国国内で大きな社会問題を引き起こしています。

イエメン人が済州島にたどり着いた経緯は、ざっくりとまとめると以下の通り。 

(1) 内戦から逃れるために祖国を離れたイエメン人が、ビザ無しで3ヶ月まで滞在出来るマレーシアへ移動。

(2) しかしマレーシアは国連難民条約に加盟していないため難民保護の義務は無く、マレーシア政府はイエメン人に対して3ヶ月を超える滞在を許可せず。

(3) 韓国政府は観光産業促進のため、済州島に限り全ての国籍のパスポート保持者に対してビザ無しでの渡航を認める政策を従前より実施。

(4) 2017年12月にエアアジアがクアラルンプール〜済州の直行便の運行を開始。これにより多くのイエメン人が観光客として済州島流入し、そのまま難民申請。

(5) 2018年6月に韓国政府はビザ無し渡航の対象からイエメンを除外するものの、それまでに500人以上のイエメン人が流入

このような事情で済州島内に流れ着いたイエメン人達ですが、どうにかして彼らの生活を垣間見ることは出来ないかと思っていたところ、どうやら地元の韓国人の支援で難民がスタッフを務めるイエメン料理店が最近オープンしたとの情報をインターネット上で入手。せっかくなのでそこへ訪問してみました。

レストランの名前はWardah、アラビア語で花を意味する単語だそうです。

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店内に入ると、スタッフは韓国人女性オーナーが1人いる他は、本当に全てイエメン人。彼ら曰く、ここに来る客も、同胞のイエメン人難民かはラルフードを求めてやって来るマレーシアやインドネシアからのムスリム旅行者が大半とのことで、地元の韓国人との間にはやはり溝がある様子を匂わせていました。

注文した料理は2品。まずはラムの煮込み。現地人が作るだけあってかなり本格的な仕上がりです。

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続いてカブサという現地の伝統料理。ピラフのようなものです。2品合わせて15,000ウォン(=約1,500円)。

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食後はスタッフと少し会話。私が10年ほど前にイエメンに旅行したという話をするとかなり驚いた様子で、写真を見せながら現地の思い出話に花を咲かせました。

東京でもなかなか見つからないレアなイエメン料理を楽しむために済州島に行く、というのも今後は十分アリかもしれません。