済州島の中心都市は名前もそのまま済州市。その中でも昔から発展していた旧済州エリアと、最近開発が進む新済州エリアに分かれています。新済州は大型ホテルやカジノ等があるらしいですがその他にあまり見所も無さそうだったので、今回は旧済州に宿を確保しました。
宿泊したのはスターズホテル済州ロベロ(Staz Hotel Jeju Robero)。現地ではスターズと言うよりもロベロと言った方がわかりやすいようでした。
1泊4,000円弱の普通のビジホです。洋室ですが、入り口は段差がついていてここで靴を脱ぐようになっていました。
チェックイン後は遅めのランチへ。TripAdvisorを覗くと、ホテルのすぐ近くに済州市内でもトップ3に入る高評価の食堂があったのでそこへ向かいました。店名はUjin Haejangguk、日本語表記だとウジン・ヘジャングクという感じでしょうか。
来店したのは3時半頃なのですが、かなりの人気店らしくこの時間でも満席。店員さんに番号札を渡され、外で待つように言われました。ただ、番号が呼ばれるのは韓国語のみなのが難点で、周りの客に目を配りながら、常に何番が呼ばれているかを把握しておかないといけません。
15分ほど待って入店。片言の英語を話す元気の良いおばちゃんが案内してくれたのはテーブルではなく座卓でした。
メニューは英語、日本語共に用意があるので安心。韓国料理には詳しくないのですが、一番上に書いてあるのでオススメメニューなのであろう、ユッケジャンを注文します。まあ、それしか聞き覚えのあるメニューが無いという理由でもありますが。
まず出てきたのは付け合せ類。韓国料理定番の付け合せの小皿ですが、これに関してはいつも不思議に思うことが。
他の客のテーブルを見ても、少し手をつけることはあっても付け合せを全て食べる人は稀なようなのですが、余った残飯は全て処分しているのでしょうか。そうだとするとかなりの量の生ゴミが発生してしまいますし、もしかして使い回しをしているのではないかという疑問です。キッチンの中は見えないので真実は謎ですが、知らない方が良いのかもしれません・・・
そしてメインのユッケジャンの登場。なんとなく、ユッケジャンという言葉からイメージされる料理は私の中では"赤色"なのですが、想像に反して出てきたのはこんなものでした。色の通り辛さはほとんど無いのですが、牛肉の風味がよく染み込んでいて評判通りの味でした。これで付け合せも含めて9,000ウォン(=約900円)はお得でしょう。
食後は町をぶらぶら。中心部には日本にそっくりの商店街があるのですが、どういうわけかほとんど人がいません。店は開いているので日本のようなシャッター街ではないのですが、どことなく寂れた雰囲気。
地下商店街もあります。ハングル文字さえ除けば、日本の地方都市と言われても信じてしまうような光景。
ただし、このようにPLASTIC SURGERY(美容整形)の広告が堂々と出ているのは、韓国ならではの風景でしょう。
済州名産の黒豚を取り扱う、その名も"BLACK PORK STREET"。黒豚通りといったところでしょうか。観光客向けのレストランが並びます。
海岸沿いには海鮮料理店も。ただ、どこも人がおらず賑わいに欠けます。建物の古びたものが多く、町全体がすでに最盛期を過ぎたかのようなイメージ。ソウルから5分間隔でフライトが飛んでいるにも関わらず、あれだけの観光客はどこに行ってしまったのでしょうか。
唯一、それなりに賑わっていたのは東門広場。よくあるアジアの市場という雰囲気の場所です。こういった場所は日本にはあまり無い気がします。
港町らしく海産物がたくさん。刺身のような生魚の切り身がラッピングされて売っていましたが、韓国にも刺身を食べる文化はあったのでしょうか。初夏にも関わらず冷蔵でなく常温で置いてあるのが気になりますが。
話は変わりますが、済州島で最近ホットな話題と言えば、イエメン人難民のイシューでしょう。昨年(2018年)の1年間だけで500人を超えるイエメン人が一気に済州島に到着して難民申請をし、韓国国内で大きな社会問題を引き起こしています。
イエメン人が済州島にたどり着いた経緯は、ざっくりとまとめると以下の通り。
(1) 内戦から逃れるために祖国を離れたイエメン人が、ビザ無しで3ヶ月まで滞在出来るマレーシアへ移動。
(2) しかしマレーシアは国連難民条約に加盟していないため難民保護の義務は無く、マレーシア政府はイエメン人に対して3ヶ月を超える滞在を許可せず。
(3) 韓国政府は観光産業促進のため、済州島に限り全ての国籍のパスポート保持者に対してビザ無しでの渡航を認める政策を従前より実施。
(4) 2017年12月にエアアジアがクアラルンプール〜済州の直行便の運行を開始。これにより多くのイエメン人が観光客として済州島へ流入し、そのまま難民申請。
(5) 2018年6月に韓国政府はビザ無し渡航の対象からイエメンを除外するものの、それまでに500人以上のイエメン人が流入。
このような事情で済州島内に流れ着いたイエメン人達ですが、どうにかして彼らの生活を垣間見ることは出来ないかと思っていたところ、どうやら地元の韓国人の支援で難民がスタッフを務めるイエメン料理店が最近オープンしたとの情報をインターネット上で入手。せっかくなのでそこへ訪問してみました。
レストランの名前はWardah、アラビア語で花を意味する単語だそうです。
店内に入ると、スタッフは韓国人女性オーナーが1人いる他は、本当に全てイエメン人。彼ら曰く、ここに来る客も、同胞のイエメン人難民かはラルフードを求めてやって来るマレーシアやインドネシアからのムスリム旅行者が大半とのことで、地元の韓国人との間にはやはり溝がある様子を匂わせていました。
注文した料理は2品。まずはラムの煮込み。現地人が作るだけあってかなり本格的な仕上がりです。
続いてカブサという現地の伝統料理。ピラフのようなものです。2品合わせて15,000ウォン(=約1,500円)。
食後はスタッフと少し会話。私が10年ほど前にイエメンに旅行したという話をするとかなり驚いた様子で、写真を見せながら現地の思い出話に花を咲かせました。
東京でもなかなか見つからないレアなイエメン料理を楽しむために済州島に行く、というのも今後は十分アリかもしれません。