Out of Office サラリーマン週末旅行記録

とあるサラリーマンの週末旅行記&搭乗記。2022年より米国在住。

7日目:ラゴスのスラム街探検

ラゴス滞在のメインイベントは、ナイジェリア最大のスラム街と言われる水上集落マココ(Makoko)地区の訪問。さすがに1人で乗り込む度胸は無いので、プライベートツアーをアレンジして行くこととしました。

ヴィクトリアアイランドにあるホテルでピックアップしてもらい、まずは車でマココ地区まで。観光客が普段は行かないメインランドの町並みを車窓から眺めながら向かいます。さすがサブサハラアフリカで最大規模の都市なだけあって、どこに行っても人・人・人でものすごい混雑。

マココ地区に到着したら、車を下りてツアー開始。下りたのはこの辺りで、ここから南東部へと広がるエリアがマココのスラム街です。アジア人が来ることは全く無いと思われ、車を下りた瞬間から尋常ではないジロジロとした視線を浴びますが、これは仕方のないことでしょう。

まずはスラム街で運営されている小学校に立ち寄り。マココのスラム街の中は上下水道といったような基本インフラは当然整備されていませんが、それは教育サービスも同様。行政から認められていないエリアということで、こうした学校も欧米のNPOが集めてきた寄付による運営だそうです。

ただ、教室には1人の教員に対して子供が50人以上いるような状況で机も足りておらず、十分な水準の教育が提供されているとは言い難い状況。

マココの特徴は、そのスラム街の大半が水上集落という形でラゴスラグーンという湖の上に広がっていること。そのため、移動にはボートが必要ということで船着場でボートに乗り込みます。ゴミが多く浮いている水面は、ベナンで行った水上集落とはかなり違った風景。間違ってもボートから落ちたくはありません。

複雑に水路が入り組んでおり、どこへ行くにも船頭の記憶が頼り。正確な地図も存在せず、それが行政サービスが行き届かない原因の1つともなっているそうです。

学校に通えている子供はごく一部のようで、ボートで水路を進むと家々から子供達が飛び出してきます。ベナンの水上集落と同様、子供達は私を見ると「ヨボ!ヨボ!」(White Peopleの意味)の大コール。ただ外国人を蔑むような意図はなく、本当に珍しいものを見て喜んでいるような感じでした。

こんな小さい子供だけでボートを漕ぐ風景もマココでは普通。

水上集落内では、商店も移動式が基本。食料品から日用品まで、様々な品物を積んだ行商がボートで水路を行き来しています。こういった行商をやっているのは全て女性。漁師の集落なので男性は漁に出て、女性がその他の仕事をするというのが分担になっているそう。

アフリカは民族の分布と関係なく欧米列強の都合で国境が引かれていることは有名ですが、ラゴスのマジョリティ民族はヨルバ人であるのに対して、このスラムを形成しているのはベナンの一部とも同じ民族であるオグ人。話す言語も違うそうで、それがこのスラムが固定化される一因になっているのかもしれません。

ボートで2時間ほどスラム内を周った後は、再び陸地へ。スラム全体に燻製されたような香りがかなり充満しており何かと思っていたのですが、犯人はこれでした。こちらでは漁で取ってきた魚を、日持ちするように燻製にして長期保存するのが普通だそうで、至る所でお手製の燻製機が煙をモクモクと上げている状態。この後夕方にホテルに帰ってからも臭いがするなと思ったら、服にこの臭いが染み付いてしまっているほどなかなか強烈な臭いでした。

ちなみに衛生状況は水上も陸地もほぼ同様といった雰囲気。現地滞在は全部で3時間ほどのツアーでしたが、なかなか強烈な経験となりました。