この日は車を1日チャーターしてレーの周辺にある見所を巡ってみることに。レーのタクシーは行き先によってチャーター代が事前に決められているので、交渉に労力を費やす必要がなく助かります。宿のスタッフに行き先別のチャーター代一覧表を見せてもらいながら検討し、ヘミス・ティクセ・シェイ・ストックの4カ所を廻ることにしました。チャーター代は3,060ルピー (約5,300円)。
朝9時頃に宿を出発。1人にしては少々大きすぎる車です。
レー市街を離れると荒涼とした風景が広がります。道路がきちんと整備されているのは、国境地帯ということで有事の際の軍の展開のしやすさ等が考慮されているとのこと。
レーから2時間弱ほど走って、最初に来たのはヘミス・ゴンパ。
昼休憩で1時間ほど閉まるようなので、訪れる順番が大事になります。
ゴンパとはチベット仏教における僧院のこと。ブータン旅行時に見た僧院とそっくりの造りです。
並んでいるのはマニ車というチベット仏教で使用される仏具。中に経典を記した紙が入っており、マニ車を回した分だけ経典を唱えたことになり、手軽に徳を積むことができる便利グッズです。
建物内部には博物館や大きな仏像等がありますが、全て撮影禁止でした。博物館は地下にあるのですが思った以上に広く見応えがあり、チベット仏教に興味がある人ならかなり楽しめることでしょう。
ヘミス・ゴンパを後にしたら、続いてはティクセ・ゴンパへ。もはや丘全体が要塞になっているかのような建物で、見た目だけなら最も印象的なゴンパです。
中にはゲストハウスがあり、宿泊も可能とのこと。早朝の礼拝を見学したい場合は、ここに宿泊するのもありかもしれません。
僧院の中には将来の僧侶を育てるための学校もあります。この丘自体が一つの町としての機能を果たしているよう。
中に入っても入り組んだ造り。しばらく適当に進んでいると居住エリアに入り込んでしまったらしく、すれ違った僧侶にこの辺りは観光客は立ち入り禁止だと言われ、見学コースまで連れ戻してもらってしまいました。
ティクセ・ゴンパの仏像は巨大で、建物の1階部分から2階部分へ突き抜ける形で鎮座しています。2階から眺めるとこのように顔を拝めますが、1階からだと足しか見えません。
ちょうど運良く壁画の修復作業を見学することができました。完全な手作業で、まさに職人技です。
読経をしている僧侶の方々。私から見たらとても近寄りがたいのですが、インド人観光客が許可も取らずに読経中の僧侶の中に割って入り、スマホでselfieを撮っていたことには衝撃を覚えます。やはり中国と同様にインドもマナーの問題はまだまだ残りそうです。
続いて3箇所目はシェイ。かつてはラダックの首都が置かれていたこともあり、その頃の王宮が残っています。
王宮への登り坂にもマニ車の列。
ここは訪れる観光客も少なく、あまり管理されていないのか、残念ながら建物はボロボロで廃墟のようです。
王宮の裏には最近建てられたような建物も。
2002年3月に建設されたということでしょうか。
内部は建って15年とは思えない年季の入りよう。ちょっと不気味な雰囲気です。
ここにも2階建ての建物に収まった仏像があります。
下から見るとこんな感じ。
ここでもタルチョがはためきます。今回の旅で知ったのですが、タルチョの色はそれぞれに意味があり、青→空、白→風、赤→炎、緑→水、黄→大地となっていることに加え、色の配置もこの順番で決まっているそうです。
最後の4カ所目、ストックへ。普段レーに住んでいたラダックの王族が、夏の間だけ住んでいたという、いわば別荘が残っています。
ここもあまり人はおらず、静かな環境。レーの王宮に比べて、まだ王族が住んでいたこ頃の雰囲気が残っています。2階部分に設置されている博物館(撮影禁止)の中には、ここを訪れた著名人としてなぜか坂本龍一の写真が飾ってありました。
4カ所を周り終えてレーへ戻ります。帰路の途中で、ドライバーに「あなたも僧院へお参りに行くことはありますか。」と質問すると、「私はムスリムなのでモスクに行きます。」とのまさかの返事。聞いてみたところ、レーの市民のうち25%はムスリムとのことでした。最近増えたというわけでもなく、昔からチベット仏教徒は異教徒に寛容だったようです。
レーに戻って町をぶらぶらしていると、確かにモスクがありました。
夕飯はスープ入りのモモ。高山で胃腸の機能も鈍っているので、こういった優しい味の料理は助かります。