ラロトンガ島では2泊するスケジュール。島内で一番大きい町であるアヴァルア(Avarua)にある、ニュージーランド人とイギリス人の夫妻が営むTe Manga RetreatというB&Bに宿泊しました。1泊108ドル(=約7,500円)と、リゾートホテルばかりで宿泊費が嵩むクック諸島においてはお手頃価格です。

初日のみ朝食無料。フルーツ盛りだくさんの手の込んだ朝食です。

3部屋のみのこじんまりとしたB&Bで、夫妻の家に泊まらせてもらっているかのような雰囲気の宿でした。

到着した翌日は、ラロトンガ島を南北に横断するクロスアイランドトラック(Cross-Island Track)のトレッキング。宿に置いてあるガイドブックにトレイルの概要が載っていました。
全長7km、最高地点はThe Needleという巨岩の麓で標高は300m台と大した高さでは無さそうですが、ラロトンガ島では一番人気のトレイルだそうです。

朝、まずはアヴァルアのスーパーに立ち寄り、水とランチを購入。ほとんどの商品がニュージーランドからの輸入品であるため価格は総じて高く、水は500mlで3ドル(=約200円)もしました。
旅行時期がちょうどラグビーワールドカップの開催中だったのですが、予選敗退したクック諸島ではニュージーランドではなくサモアを応援する人が多いようです。スーパーにもこの張り紙が。

アヴァルアの町の西にある海岸沿いのこのロータリーがスタート地点。ここから島の南側の海岸線まで、まさに島を縦断するトレイルです。

最初はこのように舗装された道路を2.5km。タクシーでショートカットすることも出来るようですが、この部分はまだきつい登りも無いですし、普通に歩いても1時間かかりません。

木陰で休むブタ。この島では家畜として鶏だけで無くブタをよく見かけました。

歩き始めて30分弱で発電所脇を通過。ラロトンガ島での電力供給を一手に担う、この島の生命線です。
燃料であるディーゼルはニュージーランドから輸入されるので、この発電所も港に近い方が利便性が良いはずですが、こんな山奥に建てられたのはジェネレーターの騒音のせいでしょう。通り過ぎてもしばらくはモーター音が聞こえ続けるほどでした。

発電所を過ぎて数分のところで、一瞬The Needleが見えるポイントがありました。

拡大するとこんな感じ。空に向かって突き出た姿はまさにNeedle(針)という名に相応しいフォルムです。

さらに10分ほど歩くと舗装道路が終了。もう少し先まで車が進めそうな道はありますが、ここから先は私有地のため、車で来た観光客はこの橋の先は歩かないといけません。

トレイルはOPEN。この標識から想像するに、悪天候時はCLOSEになるのかもしれません。

その少し先にあるのは有名なパさんの碑。このクロスアイランドトラックを歩くツアーを長年営んでいたのですが、高齢で昨年引退されたそうで、その記念碑です。ツアー自体は親戚が引き継いでおり現在でも催行されているため、ガイド無しで歩くのが不安な人はそちらに参加するのも一案。

ここからThe Needleまでは1.5kmで約250mの登り。道も一気に登山道らしくなります。

急登ポイントは3ヶ所くらい。とはいえ難易度的には簡単なレベルで、距離も大したことは無いので小学生でも登れそうなくらいです。

というわけであっという間にThe Needle直下の分岐点に到着。案内図では舗装道路が終わった橋のからここまで1時間15分がコースタイムのようですが、なんと30分で着いてしまいました。これには少し拍子抜け。

分岐点を右に折れたら1~2分でThe Needleに到着。クロスアイランドトラックの最高地点です。通常はここまで。

ただし、まだ先に進みたい人向けには鎖場が用意されています。鎖場好きの私としては行かない訳にはいきません。

ちょっと躊躇させるのが鎖場の横にあるこの標識。トレイルはここで終了、ここから先は危険、行くなら自己責任で、という警告が貼られていました。

警告文を横目に先へ進みます。こんな感じで確かに危ない。鎖場を経験したことが無いような人は避けたほうが無難でしょう。

鎖場を抜けた先がここ。ニードルの頂上まで出られる訳ではありませんが、やはり眺望はこちらの方がベター。ただしこの先は断崖絶壁でなかなかスリリングです。

眺望を楽しんだら、鎖場の下まで戻ってきてランチタイム。スーパーで買ったハム&チキンのサンドイッチです。日本のコンビニサンドイッチと違い、手作り感が溢れ出ていました。

サンドイッチを頬張っていると現れたのが鶏。人家の全く無いこんなところで遭遇するとはびっくりです。登山客がランチの残りを餌付けしてくれるので居着いたのかもしれません。

ちなみに、鎖場の下でも眺望はこのように十分楽しめます。右奥の尖った山がクック諸島最高峰であるテ・マンガ(Te Manga)、標高653mです。翌日はここに登るつもりだったのですが、下山後に観光案内所で確認したところトレイルは現在無期限閉鎖中ということで泣く泣く断念することに。

下山。南側に下りる道は2ルートあるのですが、おすすめは東側のルート。距離や難易度はほぼ変わらないらしいのですが、こちら側であれば少し離れた場所からニードルを眺められるビューポイントがあります。

ビューポイントから先は一気に下り。ここもなかなか急勾配です。

15分ほどで小川にぶつかったら、あとは沢沿いの平坦な道です。この先は何ヶ所か道を見失いそうになるポイントがありますが、木の幹などに括り付けられたビニールテープ等を目印に進めば迷いません。

沢道にはニュージーランドのシンボルでもあるシダの葉がたくさん。なんだかジュラシックパークの舞台を歩いているような気分になれます。

沢道を歩くこと40分でウィグモア滝(Wigmore's Waterfall)に到着。遊泳スポットだそうですが、蚊が多かったので早々に退散しました。

滝から先の最後の1.3kmは再び車道歩き。

海岸線に到達する少し手前で右側に打ち捨てられた廃墟群が目に入って来ますが、LonelyPlanet曰くこれはかつてのシェラトンリゾートの成れの果てだそう。どういう訳で今の状態になったのかの経緯は不明ですが、廃墟マニアには受けそうな見た目です。

一応立ち入り禁止ということにはなっています。

シェラトンの廃墟を過ぎたらすぐにゴール。所要時間は頂上でのランチ休憩も含めて3時間半と、気軽な日帰りハイキングとしては丁度良いコースでした。

この海の色はさすが南の島といったところ。トレッキング後に泳ぐなら、先ほどの滝壺よりこちらの方が気持ち良さそうです。

帰りは路線バスでアヴァルアまで戻ります。島を一周する道路を時計回りルートと反時計回りルートのバスがそれぞれ1時間間隔で運行しており、島内の移動には便利。運賃はどこまで乗っても定額の5ドル(=約350円)です。

バスの車両はどうやら日本からの中古車が使われているよう。日本と同じ左側通行が採用されているため、日本車の方が韓国車や中国車より使いやすいのでしょう。

夕飯は近くの食堂でワンプレートの定食を。魚は南太平洋地域ではお馴染みのマヒマヒです。

食後は満月の下で海岸線沿いを少しぶらぶら。夜は意外と気温が下がり、長袖のフリースが必要になるほどでした。
