Out of Office サラリーマン週末旅行記録

とあるサラリーマンの週末旅行記&搭乗記。2022年より米国在住。

9日目:ラスパルマス市内観光、カルデラ・デ・バンダマ ハイキング

今までに乗り継ぎでの1泊を2度経験しているラスパルマスですが、明るい時間帯に町中を歩くのは今回が初めて。とりあえず観光客が集まる旧市街の見所だけ押さえておきます。

旧市街の目抜き通りであるトリアナ通り。歩行者天国になっており、観光客向けの商店やレストランが軒を連ねます。

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トリアナ通りを突き抜けて更に南へ進むと、雰囲気ある旧市街の街並みが広がっていました。

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旧市街で一番目立つ建物はサンタアナ大聖堂。1500年に建設され、カナリア諸島を代表するカテドラルです。

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これはCasa de Colón、日本語に訳すと"コロンブスの家"です。コロンブスはスペインから新大陸を目指す途中、燃料や食料の補給を行うためにラスパルマスに立ち寄りました。その際にこの島の総督を訪ねて支援を求めたのですが、その時の総督邸がこの建物。なので、正確には"コロンブスの家"というのは間違った表現な気がしますが、有名になった者勝ちということでしょう。

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ラスパルマスは街のすぐ裏手まで山が迫っており、坂の多い街。個人的にはアルジェを思い出させる風景だと感じました。

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続いて、バスに乗って目指すのはカルデラ・デ・バンダマ(Caldera de Bandama)という場所。名前の通り大きなカルデラがあり、その周囲をハイキングすることが可能とのことです。サンテルモのバスターミナルが311番のバスで向かいます。

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バスに乗ること30分で、バンデマの村に到着。小さな山村です。

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ハイキングコースは(1)丘の上に登りカルデラを一望するルート、(2)カルデラの周囲を一周するルート、(3)カルデラの底へ降りるルートの3つがあります。(1)→(2)の順番で周り、時間が無いので(3)はパスすることにしました。(1)のスタート地点は、バス停のすぐ横にあるこの坂道。

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生えている植物が独特。これはサボテンでしょうか。

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15分ほどで丘の上に到着。標高569mです。実はこの丘は車でもアクセス可能で、観光客で賑わっていました。

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ここから一望できるのがこのカルデラ。直径1,000m、深さは200mにも及ぶとのこと。大迫力です。

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カルデラと反対側には、奥にラスパルマスの市街地まで見渡すことが可能。

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丘の頂上から車道に沿って10分ほど下ると、カルデラの縁を一周するルートのスタート地点。ここは看板があるので迷わないでしょう。Maps.meにも載っています。

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外周は3kmほどで、45分ほどで1周できます。それなりにアップダウンがあり、足元も砂質の地面が多く滑りやすいので、サンダル等は避けた方が良いでしょう。

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外周は細い箇所だとこの程度の場所も。

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ここから下を覗くとこんな感じです。足を滑らせたら下まで一直線。

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先ほど登った丘の頂上はあちら。カルデラの下には小屋のようなものがありますが、人は住んでいないはず。

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外周のゴールはゴルフ場。ハワイが日本人に人気のゴルフ場であるように、カナリア諸島はヨーロッパ人にとって良いゴルフ場なのかもしれません。

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ハイキング後はバスでラスパルマスへ戻りましたが、2時間に1本しか運行のないローカルバスのため、バス停で30分近く待つことになりました。

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カルデラデバンダマ、本数が少ないとはいえ公共交通機関でアクセスも可能ですし、半日で行ける気軽なハイキングコースとしてはなかなか良いところでした。

9日目:モーリタニア航空 L6110 ヌアクショット〜ラスパルマス エコノミー

朝6時半にホテルをチェックアウトして、ホテルの送迎サービスを利用して空港へ。空港までの道は片道3車線で整備されていますが、走っている車はほとんど無く、過剰投資の気も。

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空港に向かう途中に日の出を迎えました。

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車で30分ほどで、朝靄の先に空港が見えてきます。2016年にオープンしたばかりの新空港で、それまでの旧空港は市街地のすぐ隣りにあったところ、人口増加に伴う都市拡張ために郊外へ移転されました。

30kmというのはさすがに遠すぎな気がしますが、将来的にはこのあたりまで都市が拡大するという壮大な計画でもあるのでしょうか。

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新しいだけあって、見かけは立派な空港です。

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ただし、空港の規模に対して、この日の出発便は合計6便のみ。どう見てもオーバーキャパシティ気味ではありますが、将来に向けた投資ということで正当化されてしまうのでしょう。

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実際、空港もターミナルビル自体は完成していますが、中のテナントはほぼ空っぽ。国際空港には必須の設備である両替所すら、もぬけの殻です。

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ATMは一応設置されていますが、VISA対応のもののみ。しかも例に漏れず十分な現金が入っていない可能性も十分あり、そうすると空港でオフィシャルに現地通貨を入手する手段が無いことになります。ヌアクショットに空路で入国する人は、事前にホテルの送迎を依頼する等、注意した方が良さそうです。

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制限エリア外で唯一営業していたのは、この商店のみ。

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チェックインは7時過ぎに開始。チェックイン自体はスムーズに完了しました。

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出国審査及び保安検査は、特に賄賂を要求されることも無くスムーズに通過。現地通貨であるウギアは国外持ち出しが禁止されているため、ウギアの現金を持っているかという口頭での確認はありましたが、無いと伝えればそれでOKでした。

制限エリアも、とりあえずハコ自体は完成しています。

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ただし、テナントはまだほとんど無し。"Food Court"と表示があった方向へ進んでいくと、あるのは空っぽのスペースのみ。オープンから3年経ってもこの状態では、もはやテナントを入居させる気があるのかどうかすら疑わしいところです。

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ラウンジも表示はありますが、営業している気配はありません。

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申し訳程度にオープンしているのは免税店。あとはカフェも1つ一応オープンしていました。

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9:30定刻のところ、8:50には搭乗開始。アフリカにしては優秀な出来。

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予約時にはエンブラエルERJ-145のモノクラスだったのですが、当日搭乗してみるとB737-800でビジネスクラス設定もあるようでした。欧州方式ではなく、きちんとしたビジネスシートです。

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エコノミーも幅が薄いタイプの新型シート。後で調べてみると、機齢2年半という新型機材だったようです。

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あちらにエンジンカバーをかけられた状態でポツンと駐機しているのが、例のアフリカ最速導入というB737MAX8。最初に搭乗した時はもしかしてMAX機に乗せられたか?と思いましたが、ちゃんとこちらでも運航停止にしているようで一安心。

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一応、機内での免税販売もあるよう。

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ただし、最初のページに「機内販売で取り扱っている商品は全てオリジナル製品です」とわざわざ記載してあるのには笑いました。それだけ国内ではコピー製品が横行しているということでしょうが、こんな表記は初めて見ました。

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搭乗率は50%ほどで、定刻より10分早く9:20にはゲートアウトし、そのまますぐに離陸しました。

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この便はラスパルマスへの直行ではなく、モーリタニア北部にある国内第2の都市であるヌアディブを経由する便。ヌアディブまでの区間は国内線扱いのため、機内食も特に無く水が配布されたのみでした。

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30分ほどの飛行で、ヌアディブ半島が見えてきます。

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1週間前に訪れたブラン岬も、灯台も含めてよく見えました。

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ヌアディブに到着。ここでヌアディブが目的地の乗客は降機し、ヌアディブからラスパルマスへ向かう乗客が搭乗するのを待ちます。機内で待機している乗客はクルーにボーディングパスをチェックされ、間違い無いことを確認されます。

乗客の90%ほどがここで降機しましたが、それと同じくらいの乗客が同じく搭乗して来たので、結局搭乗率は50%ほどで変わりません。ヌアクショットからよりも、ヌアディブからスペインへ向かう乗客の方が遥かに多いのは意外でしたが、ヌアクショット発はパリやカサブランカへ向かう便がある一方、ヌアディブ発の国際線はこれしか無いので、この便に集中しているということなのでしょう。

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30分ほどで乗客の入れ替えは完了して再離陸。離陸して少しすると、先週に乗ったアイアントレインの線路を越えていきます。

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その少し先に、砂漠の中にうっすらと見える線のように縦方向に伸びているのが、モロッコ軍が構築した"砂の壁"です。

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ヌアディブからラスパルマス区間は国際線ということで、機内食が配られたのですが、まさかのパン3つ。アルミ皿や紙箱すら無く、トレイの上に3つ無造作に置かれた状態で出てきました。アフリカらしいワイルドさです。

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ダフラを過ぎたあたりで、アフリカ大陸から離れて大西洋に針路をとりました。これで今回もアフリカ大陸とはお別れ。

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ラスパルマスに到着。今回は後方の座席に座っていたせいで降機が遅れたため、入国審査ブースが2つしかオープンしていなかったことも相まって、入国審査の通過には20分ほどかかりました。

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空港からは、バスに乗って市街地へ。もう3度目なので慣れた者です。

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7~8日目:ヌアクショット滞在

ヌアクショットには2泊滞在。事前に予約していたのは、Hotel Wissalです。中心部より少し北側に位置しますが、十分歩ける距離で立地は問題ありません。更に空港送迎が無料なのも良い点。空港が中心部から30km以上離れており、最終日は朝のフライトなのでタクシーを手配するのも不安だったこともあり、これは助かりました。

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部屋は204号室。1泊51ユーロで最安の部屋を予約していたのですが、予約した部屋がまだ空いていないという理由で、追加料金無しでスイートルームにアップグレードしてくれました。

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ベッドルーム。薄っぺらですがスリッパ付き。

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こちらがリビング。照明が少なく少々暗いですが、1人では余りあるほどの広さ。

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バスルームも清潔。バスタブとの仕切りにカーテンが無いことは残念ですが、それ以外は値段と立地を考慮すればかなりお得感のあるホテルです。

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早速町歩きへ。首都ですが、ヤギが町をウロウロしているのはここも一緒。他のアフリカの国でも、首都において人間以外の動物がここまで悠々と道路を闊歩しているのはなかなか見かけません。

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中心部をぶらぶら歩きます。建設中のビルもあったりと、牧歌的な雰囲気が残る地方都市とは対照的に、首都は少しずつ発展を続けている模様。

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首都最大のモスクは、その名もサウジモスク(Mosqué Saudique)。サウジアラビアからの支援金で建設されたとのことですが、それにしても何のひねりも無い名前です。異教徒は内部に入ることは出来ないので、外から眺めるのみ。

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ぱっと見は現代的で立派な造りですが、よく見るとかなり老朽化が進んでいるよう。ミナレットのテラスは既に崩れ落ちています。完成してからそんなに年月が経っているようには見えないので、メンテナンス状況がよほど悪いということのようです。

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町中には、メッカ巡礼を宣伝する広告も目立ちます。こちらはターキッシュエアラインズ。

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これはクレジットカードのキャンペーンでしょうか。カード普及率が恐ろしく低いこの国で、カードを所有できるだけの層がどれだけいるのか不明ですが。

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旅行会社もメッカ巡礼を意味するハッジ&ウムラ推し。裏を返せば、それ以外の用事で飛行機に乗って海外に出る人がほとんどいないということでしょう。

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唯一観光客向けの見所と言えるのが、国立博物館

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実はこの日は休館日だったようで、中では正装をした中高生くらいの少年たちが集まって学校の発表会のようなイベントをやっているところでした。身なりもよく片言の英語も解し、アジア人を差別するような発言も全く無かったので、上流階級の家の子供たちだったようです。

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私が少年たちに博物館は閉館なのか?と尋ねると「そうなんだけど、ちょっと待っててよ」と言うので何かと思っていると、なんとこの博物館の管理人をどこからか連れてきてくれました。少年たちがわざわざ日本から見学者が来たということを話してくれたらしく、管理人が鍵を開けてくれて、閉館日にも関わらず特別に中を見せてもらえることに。

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展示品が収納されているケースは全て日本からの支援品でした。少年達はこれを私に見せたかったようです。

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展示はモーリタニアの歴史、自然に関するもので20~30分あれば十分見て回れる程度のこじんまりとした規模です。ただ、解説がアラビア語とフランス語しかないので、展示物を見て想像するしかありません。それでも、このシンゲッティの金曜モスクはさすがに分かりました。

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入り口に掲げられているのも金曜モスクの絵。やはりモーリタニアを象徴する建物というのは間違いなさそうです。

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中心部にて、偶然モーリタニア航空のオフィスを発見。明日のフライトを予約してあるのですが、アフリカの弱小エアラインは基本的に信用ならないので、念のためリコンファームをしておきます。

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フラッグキャリアとはいえ、オフィス内はスタッフが3人いるだけの小さな規模です。驚いたことに3人とも英語が全く通じず、かなり怪しい感じ。それでもGoogle Translateを駆使して何とかコミュニケーションを取り、リコンファーム成功。

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e-ticketの控えも印刷してもらえました。封筒に1st BOEING 737 MAX in Africaと書かれている通り、実はエチオピア航空よりも前の2017年12月にボーイングの最新鋭機を1機だけ導入しています。それも、一連の737MAXの事故が起こった今では虚しく響きますが。

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町の北西にあるのは、この国には似つかわしく無い規模のスタジアム。

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想像通り、中国の支援によるものでした。良いか悪いかは別にしても、JICAのODAと比べても資金力の差は歴然です。

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2018年12月に、6億5,000万ウギア(=約20億円)かけて改修されたとのこと。中国のアフリカ進出の勢いは凄まじいものがあります。

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スタジアムの隣りでは、モーリタニア初の国際ブランドホテルとしてシェラトンが建設中。

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この建設に携わっているのも中国企業。現地の企業に任せるには不安過ぎますし、かといって日韓やヨーロッパの企業に発注するとコストがかかりすぎるので、シェラトンとしても中国企業の存在は重宝しているはずです。

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中国のほかにこの町でプレゼンスが大きいのはトルコ。特に衣料品店はほとんどトルコ系です。同じイスラム教徒の国として、モーリタニアでも馴染みやすいのでしょう。

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 食事に関しては、今までに比べると首都らしく随分と小綺麗になりました。ただ、値段も上がり、このシャワルマで100ウギア(=約300円)。

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ちかくのカフェで取った朝食は完全にフランス風。旧フランス植民地らしく、フランスパンはなかなかのクオリティです。これも100ウギア。

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あまり見所の無いヌアクショット、今回1日半も滞在しましたが、正直半日あれば十分という印象でした。翌日は例の怪しいエアライン、モーリタニア航空に乗ってこの国ともお別れです。

7日目:シンゲッティ〜アタール〜ヌアクショット 陸路移動

この日は朝にアタールまで戻り、そのまま首都のヌアクショットまで一気に移動することを目指します。

シンゲッティからアタールまでの乗り合いタクシーは早朝出発なので、前日に宿のオーナーのアブドゥに予約をしてもらっていました。その際にアブドゥに「朝5時に迎えが来るから!」と言われていたのですが、当日実際に迎えが来たのは何と4:15。まだ夢の中だったのですが、部屋のドアをドンドンとノックされる音で目が覚め、急いで荷物をパッキングしてさっさと出発です。

5時発の予定ならば、実際は良くても5:30、まあ6:00くらいかなとアフリカ基準で考えていたのですが、予定時刻よりも早いパターンは初めてなので少し焦りました。

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他の乗客をピックアップして、4:30にはシンゲッティを出発。まだ暗かったので写真には撮れませんでしたが、こちらのルートも途中断崖絶壁の中を下っていく部分があり、なかなかの景色でした。

途中、日の出前のお祈りタイムで10分ほど停車した以外はひたすら走り続け、6:00にはアタールに到着。Salima Voyagesという乗り合いタクシー会社の前で降ろされました。運賃は降車時に支払い、200ウギア(=約600円)。

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このSalima Voyagesという会社は評判が良いので、ここでヌアクショット行きのバンも手配しようと思ったのですが、残念ながら本日出発便はすべて満席とのこと。他の会社も満席の便が多く、ようやく空席が見つかったのは4社目に尋ねたAzougui Transportでした。7:30発とのことで、時間帯はばっちりです。運賃はどの会社も同じ400ウギア(=約1,200円)でした。

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出発前、バンの上に続々と荷物が積み込まれていきますが、その中にごそごそ動く怪しい荷物も紛れています。

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よく見ると、袋詰めにされた生きたヤギ。これから首都に出荷され売り捌かれる運命なのでしょうか。荷台に載せられる際、せめてもの抵抗のように泣き叫ぶ声が虚しく響き渡ります。

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しっかり荷台に固定したら、上から落下防止用の網をかけて完成。ヤギの小便で荷物が汚れることが心配になりますが、ヤギ以外の荷物は緑色のビニールシートでしっかり覆われているので、とりあえず大丈夫そうです。

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荷物の搭載に時間がかかったため、定刻より少し遅れて7:15過ぎに出発。出発して早々、1人1本のボトル水が配布されました。アフリカらしからぬサービスに驚きです。

道中は高低差も少なく舗装されたフラットな道が続くので、ドライバーはかなり飛ばし気味。

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途中、中間地点にあるアクジュート(Akjoujt)という町で10分ほど休憩です。売り飛ばされるヤギが自由なヤギを荷台から見つめる光景。

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アタールを出発して5時間、12:30過ぎにヌアクショットに到着。町の中心部まで行ってくれるわけではなく、町の北端に位置する乗り合いタクシー会社のオフィス前で降ろされました。これはAzougui Transport社に限った話ではなく、どの会社のオフィスもこの辺りに集中しているようです。

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ヤギも無事到着。

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中心部にあるホテルまではタクシーで向かいます。ホテルの名前を言っても通じないことが多いので、Google Mapで調べたホテル近くにある交差点名(Carrefour Bana Blanc)を告げると、すぐに理解してもらえました。運賃は100ウギア(=約300円)。乗車時間が20分ほどかかることを思えば妥当でしょうか。

モーリタニアあるあるですが、タクシーがオンボロ。空調が機能する気配は全くありません。

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座席裏はクッションが丸見え。

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そして扉はこの状態。ここまで使い倒してもらえれば、自動車メーカーとしても本望でしょう。

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6日目:世界遺産の町シンゲッティ散策

シンゲッティに着いたのは15時過ぎ。この日の宿はフランス人が経営するLa Gueilaというペンションを想定していたのですが、行ってみるとまさかの満室。ということで、ネット上でも良く見かける片言の日本語を話すモーリタニア人のアブドゥという男が経営する宿、オーベルジュ・ザルガにお世話になることとなりました。

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トイレ・シャワー共同、エアコン付きの個室です。言い値は1泊400ウギアのところを値切って200ウギア(=約600円)。

ちなみに、オーナーのアブドゥというのは、噂に違わずかなり怪しい男です。先人の旅行者の皆さまの評判はインターネットでもちらほら出てきますが、私が経験したのは以下の通り。

ケースその1:WiFi

<部屋の値段交渉時>

私「WiFiあるの?」

アブドゥ「ある。ポータブルルーターを常に置いてあるからいつでも使える。」

私「すごいね。オッケーオッケー」

<チェックイン後>

私「WiFiのパスワード教えて。」

ア「今の時間はMauritelの電波が来ないので使えないんだわ。」

私「え?(言ってることが違う・・・)私のSIMカードもMauritelだけど、今も電波キャッチしてるよ。」

ア「SIMカード持ってるならいいじゃないか、それを使えばいい。」

私「(話を逸らす気か・・・)いやいや、ルーター見せてよ。」

ア「WiFiの契約が従量制なので、チャージしないと使えない。夜まで待って。」

私「(電波が来ないという話は何だったのか・・・)」 

ケースその2:夕食

ア「夕食用意できるけど、いる?」

私「いくら?」

ア「300ウギア」

私「(情報ノートの値段と違うな・・・)情報ノートには100ウギアって書いてあるよ?」

ア「それはクスクスだけの場合。300ウギアならチキンにスープも付ける。」

私「(情報ノートにはチキン付きだったと書いてあるんだけど・・・)ちょっと考えるわ。近くにレストランとかもあったよね?」

ア「こんな小さい町にレストランなんて無い。」

私「え?さっきすぐ近くで一軒看板を見かけたよ?」

ア「(知ってたのか!と慌てた感じで、)あれは観光客がたくさんいないとオープンしない。最近は人が減っているから無理だ。」

私「(怪しい・・・、どうしてもここでの夕食に誘導したいだけだろ・・・)」

→結局、この日の晩はそのレストランは普通に開いていました。

このように、すぐバレる嘘をつく、という途上国の嘘つき男によくあるパターンでした。この無駄なやりとりは疲れますが、これも途上国旅行の醍醐味とも言えます。

ただ、片言の日本語はまあいいとして、彼が英語を話せるのはモーリタニアにおいては大きなアドバンテージ。それに部屋はこんな感じで、エアコンの効きも十分で寝る分には問題無しでした。これで200ウギアであればまあトータルでは悪く無いでしょう。

(シーツがぐちゃぐちゃなのは、チェックアウト前に写真を撮ったからです。 )

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シンゲッティの町は手前の旧市街と奥の新市街に分かれており、アブドゥの宿は新市街の最も旧市街に近い側。宿があるのはほぼ新市街のみなので、旧市街へのアクセスという意味でも立地は良いです。

旧市街と新市街の間にはワジが流れており、大雨が降ると数日間は旧市街側は陸の孤島になるとのこと。通常は少年達のサッカーコートになっています。

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シンゲッティは8世紀から11世紀頃にかけて、当時一帯を支配していたガーナ王国(現在のガーナとは無関係)の下で、地中海沿岸とサブサハラ地域を結ぶ交易拠点として栄えた歴史ある都市として、世界遺産にも登録されています。

現在の一番の見所は、当時の書物を数多く保管している図書館。一部資料を今でも見ることが出来るのですが、管理人は英語を全く話さないとのことなので、アブドゥに200ウギア(=約600円)を払って同行をお願いしました。

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中に入ると、歴史ある書物がずらっと並ぶ書棚が目に入って来るかと思いきや、予想に反して現代的なロッカーにファイルが積まれています。まるで日本のオフィスの書庫のよう。

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あれ?と思っていたら、管理人が奥の部屋からそれらしい書物を持ってきてくれました。手にも軍手を嵌めており、本格的な感じがします。これはコーランとのこと。

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こちらは数学に関する本。10世紀頃のものらしいです。

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カーバ神殿を書いた図。当時からこの辺りはイスラム教の影響かにあったようです。これはコピーのみで原本は見せてもらえませんでしたが。

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この図書館、確かに資料は古めかしい感じなのですが、アブドゥ経由で管理人に何を質問しても「それはわからない。」とか「それは見せられない。」ばかりで、正直こちらの理解はほとんど深まりません。何となく有難いものを見せてもらった気になりますが、極論を言えばあれが全部偽物でもこちらは判断しようがない訳で、何となく消化不良感が残りました。

ミュージアムもあるようですが、こちらは閉まったまま。

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アブドゥと別れて、一人で旧市街をぶらぶら。過去の書物は全て先ほどの図書館に集められていますが、かつての図書館の建物自体は全部で5カ所あります。ただ、看板が無ければそれとは全くわかりません。

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図書館と並ぶもう一つの見所が、この金曜モスク。諸説あるらしいですが、現地ではこのモスクはイスラム世界の中で2番目に古い現存する建物で(1番は不明)、イスラム教で7番目の聖地(1番はメッカでしょうが2番から6番は不明)と言われています。

真偽の程は別にして、歴史ある建物であることは確かであり、モーリタニア人にとっては国家を象徴する建物であり、ウギア紙幣にも描かれています。ミナレットの最上部の四隅にある丸い構造物は、ダチョウの卵を模しているそうです。

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シンゲッティの旧市街は、急速な砂漠化の影響をダイレクトに受けており、町の裏にはもう砂丘が広がっています。

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旧市街の端に来ると、もう半分砂に埋まっているような住居も見受けられました。

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放棄されている家も多いですが、こうやって砂を掘って入り口を確保し、住み続けている人も多いようです。あと何年持つことやら。

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そのまま砂漠へ。この町には当然ゴミ回収システムなど整っていないので、プラスチックゴミは全て砂漠へ捨てることになっているようです。これは観光客的には少し幻滅。

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それでもゴミ捨て場を越えて少し砂丘の奥に入ると、これぞサハラ砂漠という絶景が広がっていました。どこまで行っても砂のみです。

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表面には風紋が綺麗に描かれています。

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反対側にはシンゲッティの町。私の足跡だけがくっきりと残っています。これくらい歩くと、ゴミも見えず町の喧騒も全く聞こえないので、生命の気配も風以外の音も全く無い、砂漠の"無"の空間を体感可能。

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ここでサンセット鑑賞。良い時間でした。

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夕食は例のアブドゥが閉まっていると言っていたレストランへ。店を一人で切り盛りしていたのは感じの良い黒人の若者で、夕飯を食べに来たというと屋上の"テラス席"に通してくれました。

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屋上は夜の風が心地よく快適。奥には旧市街を臨めます。

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メニューはチキンorサンドイッチ、とのことだったのでチキンを注文すると、出てきたのは昨日アタールで食べたものとほぼ同じ味付け。写真ではよくわかりませんが、野菜とポテトの下にチキンと玉ねぎの甘辛ソテーが埋まっています。モーリタニアの定番料理のようです。これで150ウギア(=約450円)と、結果的にはアブドゥのところで300ウギアも払わずに大正解でした。

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6日目:アドラール地方周遊

この日は4WD車をチャーターして、1日かけてアドラール地方を周遊します。朝にアタールを出て、テルジット(Terjit)、ムヘリト(M'Heirth)、ザルガ山(Zarga Mountains)を経由してシンゲッティまで向かうルートです。車は宿で手配をして、ドライバーとガソリン代込みで115ユーロ。オフロードが多く燃費が悪いことも考えれば、適正な価格と言えると思います。

朝7時に出発。アタールからテルジットまでの区間は、最後の数百メートルを除いてほぼ舗装済みで快適です。

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アタールの周辺は米国のモニュメントバレーのような独特な地形が広がっています。

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1時間弱でテルジットの村に到着。

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谷沿いに広がるこの小さな村は、水が湧き出るオアシスがあることで有名。アタールからのアクセスも容易で、観光客が最も訪れやすい村の一つです。それを示すように、村の入り口には英語の看板も。

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村に着いたら入村料として150ウギア(=約450円)を払い、奥にあるオアシスへと歩いて向かいます。先導してくれている民族衣装の現地人はドライバーです。

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歩いて5分でオアシスに到着しました。一応綺麗に整備されており、キャンプなども出来そうな雰囲気。

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小川の中には小魚も。灼熱の気候ですが、このオアシスの中は涼しげです。

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崖の下に位置しており、このおかげで午後の暑い時間帯は日差しが遮られるとのこと。良く考えられた立地のようです。

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どういう訳かこの崖は水分を含んでいるらしく、崖の下からは天然のフィルターで濾過された水が滴り落ちてきます。観光客が飲んでも問題無い水質で、良い水分補給になりました。

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今回はプライベートチャーターなので、好きなだけ一つの場所に滞在できるのが良いところ。せっかくなので、オアシスの裏にある斜面の上に登って見ることにしました。

少し登っただけで、このオアシスが崖に挟まれた絶妙な場所に位置していることがわかります。

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更に30分ほど上に登ってきました。この独特な地形のおかげで、テルジットと同じような渓谷はいくつもありそうな様子です。

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反対側はフラットな土地が広がっていました。どうやらこの部分がちょうど低地と台地の境目のようです。

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よく目を凝らすと、そちらの方に続く道が見えます。この更に奥にまだ村があるのでしょうか。

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崖を降りて、テルジットの村に戻ってきました。ここモーリタニアではアフリカ他国の例に漏れず大人は写真を嫌がる人も多いですが、子供は基本OK。あまり外国人慣れしていない感じです。

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村の家々は非常に質素な造り。大雨が降ったら水が滲み出てしまうのではないかと心配になるほどです。

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2時間ほど滞在してテルジットを後にし、更に先へと車を進めます。道は徐々に低地から台地へと上がってきました。渓谷が広がる雄大な風景です。

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少し進むとムヘルトへ向かう分岐点。

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ここから先はオフロードです。とはいえ、台地の上は平坦なので道もまっすぐ。すれ違う車こそなかったものの、幅広い道路はそれなりに交通量が多いことを推察させます。

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30分ほど走らせて、ムヘリトの町が見えてきました。ここもテルジットと同じく、台地の間を縫って流れる川沿いの低地に広がる町のようです。規模はテルジットよりも大きめ。

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家の形は基本的にテルジットと同じ。

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日中は外を歩くには暑すぎるのか、人の気配が全くありません。ゴーストタウンのよう。

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ムヘリトはテルジットのような美しいオアシスがあるわけでも無いので、一通り町をぐるっと見たらそのまま通過。続いてザルガ山方面を目指します。

道中、たまに現れるのはラクダ。この辺りに生息しているのは全てヒトコブラクダです。

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どこまでも平坦な道でしたが、奥の方に山が見えてきました。あれがザルガ山。

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これがザルガ山。砂漠の中に広がる黒い岩が印象的で、そのコントラストから、現地では二色の山 (Montagne Bicolore)とも呼ばれるそう。

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ザルガ山を眺められる木の下で休憩タイム。ちょうど昼時なので、昨日アタールで入手したフランスパンとツナ缶でランチです。

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この木、日陰を作り出してくれるのでありがたい存在のですが、頭上に気をつけないと、枝に生えた無数の棘に刺されてしまいます。砂漠のような過酷な環境で、鳥やラクダに食べ尽くされずに生き残るための進化の結果でしょう。

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葉は小さいですが、枝がいくつも折り重なれば日差しをさけるには十分です。

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ドライバーが枯れ枝を集め始めたので何かと思いきや、火を点けてお茶を準備し始めました。モーリタニア人はお茶が大好きな民族だと聞いてはいましたが、ここでようやく初体験。

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お湯が沸いたら砂糖を追加。これがまだ尋常では無い量で、小さなグラス2つ分のためにスプーン山盛りで3杯も投入していました。そもそもお茶自体は緑茶なので砂糖など入れる必要無いのですが、郷に入っては郷に従え、です。

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砂糖を足しても、まだすぐには飲めません。次はティーポットを高く掲げてグラスにお茶を移し、その後すぐにまたティーポットに戻すという作業が数回入ります。

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数回の移し替えを経てやっと完成。移し替えは何のためかとドライバーに尋ねると、お茶を泡立てるため、とのことでした。この泡が重要なようです。

味は想像通り、激甘な緑茶。しかもモーリタニアではお茶は1回で3度飲むのがマナーなようで、この一連の儀式を3セット行うことになりました。まあ、これも経験です。

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休憩中、ロバに乗る遊牧民の少年を発見。こんな何も無いところで、どこから来てどこへ向かうのか。

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そしてラクダも。これは珍しい白色のラクダです。

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結局ゆっくり1時間半ほど休憩。ドライバーの礼拝タイムも終えたら、目的地シンゲッティに向けて再出発です。ザルガ山からシンゲッティまでは砂丘地帯を断続的に横切るため、アップダウンが多くスリル満点なドライブが楽しめました。

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時たま横切る遊牧民のテント。地球上でも住むには最も過酷な環境の1つだと思いますが、ここで生まれ育てばこの環境が普通になるのかもしれません。

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空の青さと砂丘のベージュがそれぞれに濁りの無い色で良いコントラスト。

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ちなみに、道中で見かけるラクダ達は、全て家畜です。今まで知らなかったのですが、サハラ砂漠ラクダは全て家畜化されてしまっており、野生のラクダというのはもはや存在しないとのこと。こんな野放しでどうやって探し出すのか不明ですが、良く見ると紐のようなもので背中が括られており、野生でないことは間違いありません。

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15時頃、シンゲッティに到着。Bab Saharaのオーナーの通り、1日で見所をサクッと廻れる良いルートでした。

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5日目:アタール滞在

到着した日はこれ以上の移動はせず、アタール市内でゆっくり。

アタールの旅行者向けの宿と言えば、今回宿泊したBab Saharaと、町の南側にあるCamping Inimiの2つが有名。車のチャーターの相談などで事前にどちらもコンタクトを取りましたが、Camping Inimiの方のモーリタニア人オーナーはかなり金にがめつい雰囲気でした。

一方、Bab Saharaのオーナーである年配のオランダ人カップルはこの地に20年以上住み続けていることもあり周辺情報に関する知識が豊富で、ルートの相談にも乗ってくれたりと好印象。宿自体も、広々とした共有スペースにハンモックなどが点在しており、リラックスして過ごせました。 

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部屋はこんな感じ。エアコン付き、トイレ共同で1泊1,150ウギア(=約3,500円)でした。この他にも250ウギアのドミテントからシャワー・トイレ付きの部屋まで、バリエーションは豊富です。

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宿の立地は町の中心から800mほど。中心部の騒々しさとは無縁ながら、気軽に歩いて行くことも可能なちょうど良い距離でした。

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翌日以降のルートについてオーナーのJustusと相談しました。

アドラール地方で一番の見所と言えば世界遺産にも登録されているシンゲッティの旧市街。アタールからは舗装道路が通っているので乗り合いタクシーでもダイレクトにアクセス可能ですが、4WD車でオフロードを通って行った方が周辺の見所も効率的に巡れるとのことだったので、アドバイスに従い車を翌日は1日チャーターすることにしました。

周辺の見所が書かれた手作り感たっぷりの地図も貰えます。Google Mapでもほとんど空白地帯なので、これは便利。

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昼はアタールの町をぶらぶら。町の中心のロータリーは、塔のようなモニュメントが目印です。

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中心部には過剰と思われるほどの数の太陽光パネル付き街灯が立ち並んでいます。アフリカの田舎町の景色にはイマイチ馴染まず、不自然な光景です。

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殺風景な中心部とは違い、まだ開発が進んでいない周辺部はなかなか味がある町並みが残っています。電線を除けば、100年前からほとんど変わらない風景でしょう。

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この町ではロバも立派な荷物運搬の担い手。ロバ1頭にしてはかなり大きな荷台を引かされて、気の毒になります。

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そんなロバも休憩中は自然と日陰へ。サハラ砂漠のど真ん中にあるこの町では、日中の気温は軽く40度を超えていきます。

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ヤギのエサはダンボール。

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ぶらぶら町歩きをしている中で、唯一見つけた観光客向けの見所と思われるのがこの博物館です。

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ただし、開館時間は9時〜13時と16時〜18時と、3時間も昼休みがあるのでした。ちょうど昼過ぎに訪れたので入ることは出来ず、どんな展示物があるのかは謎のまま。

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することもないので、適当な場所でランチ。乗り合いタクシー発着場の近くにある食堂に入りました。

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中は殺風景。いかにもアフリカのローカル食堂という様相です。

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英語は全く通じませんが、知っている限りのフランス語の単語を駆使して出てきたのはこんな料理。チキンのポテトと玉ねぎソテー添えです。玉ねぎソテーが甘辛味で思ったよりも美味しく食べられました。しかも50ウギア(=約150円)と激安。

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モーリタニアで出会った意外な飲み物が、ポッカのメロンミルク。こんなところで日本ブランドをの飲み物を目にするとは思いませんでした。このドリンクはかなり人気があるようで、モーリタニア全土で売られており、商店やキオスクなどどこでも購入可能です。銭湯で売っているフルーツ牛乳のような味。

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どこで製造しているのかと思えば、なんとシンガポールでした。あんな土地も狭く人件費も高い国で製造されたドリンクが、こんな辺鄙なアフリカの後発途上国で販売されているとは意外な感じもします。

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