この日は岬めぐりコース、8時間コース、礼文林道コースの3つを繋ぎ、最北端のスコトン岬から香深港まで約30kmを踏破する予定。
前記事では岬めぐりコースに触れました。
今回は西上泊から先の8時間コースについて。西上泊から先に進む場合、オフィシャルなルートは車道沿いに少し戻る必要があるのですが、この看板にある通り、集落の奥からショートカットルートを進むことが可能です。
10:15、西上泊を出発。集落の端に標識があるので、そこからトレイルへと入っていきます。
但し、このショートカットコースは人が歩いた跡がわかりづらく、一面藪状態なのが難点。ルートファインディングに自信の無い人は、素直に車道沿いを戻った方が安全かもしれません。
所々標識はありますが、これが無ければトレイルだとは全く思えないような場所もちらほら。距離は長く無いので、最悪GPSが手元にあって方向さえ間違えなければ何とかなるとは思いますが。
10分ほどの藪漕ぎの後、無事8時間コースのメインルートに合流。ここから礼文林道までの13kmはエスケープルートが無く、前に進むしかありません。
最初のうちはルートも広く、ハイキングというよりは散歩のようなコース。
途中、西上泊の集落と澄海岬、そしてその奥にはゴロタ岬まで一望できる場所もあります。
11:00頃、召国集落との分岐を通過。
その先、徐々にルートは細くなり、トレイルのような雰囲気が出てきます。
西上泊から、8時間コースの道中で唯一の集落である宇遠内までの距離は9km。
所々森林の中を歩く場面もありますが、基本的には景色が変わらず、この区間は正直少し退屈なエリアでした。
トレイルもどんどん細くなり、遂には藪状態の場所もポツポツと。ただ、歩きにくいですが道迷いするほどではありません。
12:00頃、少し広くなった長めの良い場所で30分ほどランチ休憩。
このルートは、基本的に北から南への一方通行のみが推奨されているため逆走する人はおらず、全く人とすれ違うことがありません。関東近郊のガヤガヤした登山道とは大違いの静けさです。
ランチを楽しんでいたらカラスが登場。特段危害はありませんでしたが、カラスなんて都会にしか生息していない鳥かとばかり思っていました。
宇遠内集落の手前で、海岸線まで一気に急降下。かなりの斜度なので、ここは注意深く進む必要があります。
アナマ川の河口で海岸線に到達。ここから宇遠内まで1kmほどは、海岸沿いを歩いていきます。
海岸のすぐ脇は切り立った崖。落石の跡はいくつもありますが、こんなサイズの岩が命中したらひとたまりもありません。
この区間、1kmと距離は短いですが岩がゴロゴロしているためにスピードは出せませんが、普通のトレイルと違いメリハリがあってこれはこれで楽しめます。ただ、強風や高潮の時は通らない方が良さそうです。
波打ち際に漂着していたゴミにはキリル文字。海の向こうはもうロシアです。
地層の線が剥き出た岩肌。
13:20、宇遠内の集落に無事到着しました。
防波堤の先から見た集落全景。家は10軒以上ありますが、ほとんどが廃屋になっており、現状では夏の期間のみ2世帯だけが居住しているということです。
そのうちの1世帯のおばちゃんが開いているカフェ「ウエンナイひとやすみ」で一休み。温かいコーヒーが売っています。
このおばちゃんの話では、宇遠内集落は昔はもっと賑やかでしたが、礼文島の他の地域と道路が繋がっておらず不便だということで、過疎化が進んでしまったそう。現在夏だけ住んでいる2世帯も、買い物等は西上泊までボートを出すしか無いそう。郵便局員もたどり着けないため、郵便物も西上泊まで行かないと受け取れないというのには驚きました。電気代・水道代も検診員が来られないため定額制、テレビもBSしか映らないんだそう。
それでも夏だけここで暮らす理由は、やはり昆布漁。礼文島の経済の生命線と言っても過言では無さそうです。
おばちゃんの話が面白かったのでついつい長居をして40分ほどゆっくりしてしまい、14:00に再出発。かつてはここから更に南の元地集落までトレイルが設定されていたそうなのですが、落石事故があったために現在は通行止めとなっているため、ここから先は内陸へと入っていきます。
2世帯のための浄水場を通り抜けて、先へ進みます。
谷沿いを進んでいくのですが、冬は谷を吹き抜ける日本海からの風が相当強いのか、木が一方向にしか成長していません。
宇遠内から礼文林道までは3km。今までに比べると歩きやすい道で、スイスイ進めます。
14:40、礼文林道との合流地点に到着。ここから更に東へ2kmほど進めば香深井の集落に辿り着き、バスに乗って香深まで帰ることも出来ますが、まだ時間に余裕もあるので、この先は礼文林道を南へと歩いて香深へと向かいます。