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とあるサラリーマンの週末旅行記&搭乗記

7日目:アマゾン先住民族コミュニティ・サンマルティンでの滞在 (2)

サンマルティン滞在2日目。

この日の午前中の予定は、アマゾンの原生林の中でジャングルトレッキング。まずは村からボートでアマカヤク川を遡上していきます。

サンマルティンはアマカヤク川唯一の集落であり、ここより上流には人間の定住地はありません。そのためすれ違うボートも全く無く静かな環境でのジャングルクルーズでした。

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30分ほどで目的地に到着してジャングルトレッキング開始。集落の周辺はある程度人間の手が入っていますが、これだけ離れるともう完全に原生林です。

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意外かもしれませんが、アマゾンの原生林では動物に遭遇する可能性はほぼゼロ。アフリカのサファリのような決められた野生動物保護区があるわけではない無いので、動物はこの広大なジャングルを自由に移動することが出来、人間と鉢合わせしにくいのが理由です。

そのため、ジャングルトレッキングの目的は、先住民のティクナ族がどのようにジャングルと共生しているかを知ることがメインになります。この日のガイドのジョハンは、24歳と私よりも年下ですが、ティクナ族に伝わる昔の神話から自分の体験談まで、知識豊富に説明してくれました。

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例えば根っこの部分が特徴的なこの木。これは根の部分を棒で叩くと大きな音が響くので、森の中での先住民同士のコミュニケーションの手段として使われているとのことです。

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実演してくれるジョハンくん。密林の中でも1kmくらいは余裕で聞こえるそうです。

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 このジャングルの中でも特別高いこの種類の木は、ティクナ族の神話にも出てくる重要な木。神話をかなり簡潔に書くと、アマゾンがまだ存在しない頃にティクナ族の先祖である兄弟が動物たちと協力してこの木を倒すと、そこからアマゾンの水や大地が現れたという全ての源に値する大事な木だそう。

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こちらはゴムの木。幹を傷つけるとそこから樹液が溢れて来ます。アマゾン地域には数多く生えているゴムの木ですが、19世紀にはこのゴム樹液を追い求めて大量の入植者が欧州から到来し、先住民に奴隷労働を強いて農園を経営していたという黒歴史のそもそもの原因でもあります。

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これは何の変哲も無い草の蔓に見えますが、耐久性があるらしく、ティクナ族の女性はこれを集めて籠などの工芸品を作っているそうです。部外者には他の植物と全く見分けが付きません。

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この道はどこに繋がっているのかと聞くと、3日歩くとブエノスアイレスというティクナ族の別の集落に繋がっているとのこと。

ブエノスアイレスはプトゥマヨ川水系にあり、船で行こうとするとブラジル側をぐるっと回り込まなければならず余計に時間がかかるので、今でもここを歩く人はたまにいるそうです。ジョハンくんも一度歩いたことがあるらしく、地元民の彼をもってしても「キツすぎてもう行きたくない(笑)」とのことでしたが。

また、ジョハンくん曰く、20年ほど前のコロンビアが麻薬大国だった頃は、麻薬カルテルがこの道を歩いて麻薬を密輸しており、ティクナ族も運び屋として手伝わされていたとのこと。プトゥマヨ川は上流に進めばコロンビアの中心部へと向かうので、そことアマゾン川本流を人目に付かずに繋ぐルートとして利用価値があったのかもしれません。

そんな場所を観光客が歩けるなんて、随分平和になったものです。

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3時間ほど原生林を歩いたらアマカヤク川に戻り、村に帰る前に釣りタイム。

しなる木の枝に糸と針を付けただけのシンプルな釣竿です。もちろんアマゾンなので狙いはピラニア。噛まれないようにゴム長靴で対策していざ開始。

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餌はジョハンが村から持って来てくれた魚。これを切り身にして針に付ける、いわば共喰い状態です。

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普通は釣りと言えば気配を消してジッと待つものですが、ピラニア釣りの場合は真逆。川に入って来た動物を狙う習性があるので、水面を釣竿でバシバシ叩いてピラニアの興味を引くようにします。

そうすると意外と頻繁に喰い付き自体は感じるのですが、直ぐに逃げてしまうので絶妙なタイミングでの釣竿の引き上げが必要。30分ほど粘って釣果は私2匹、ガイド5匹でした。

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昼過ぎにサンマルティンに帰還。ランチはチキンとスープでした。

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食後は自由時間があったので少し村をぶらぶら。大人が何人か集まっている場所があったので、混ぜてもらいました。散髪屋が男性のコミュニティになっているようです。

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村人と適当に話をしていると、飲むように勧められたのが、バケツから汲み出されたこの怪しい液体。マサトというユカ(キャッサバ)を発酵させたアルコールです。

バケツの衛生面が気になるところですが、出されたものを断るのは無礼にあたるかもしれないので、気合いで飲み切りました。ただ、味は思ったよりアッサリしていた日本酒のにごり酒のような感じで、意外とイケます。

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少し涼しくなった夕方のプログラムは、村の周辺にある農地エリアの散策。農業はサンマルティンの基幹産業であり、収穫された作物は村内での消費に加えてプエルトナリーニョやレティシアまでの出荷もしており、カサ・グレゴリオの運営を除けばほぼ唯一の村外からの収入獲得手段です。

一番メジャーな作物はプランテーン。日本人的にはバナナとの見た目の違いがよくわかりませんが、こちらは全く甘さがありません。生で食べることは無く、茹でたり蒸したりして主食として食べるので、イメージ的には芋類のような取り扱いです。

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こちらはキャッサバ。プランテーンと並ぶ主食です。この村ではこれ以外の主食類(小麦やコメ等)の生産は行なっておらず、カサ・グレゴリオの食事で出てくるコメは観光客に出すためにわざわざ仕入れているとのことでした。先住民はあまり日常生活でコメやパンは食べないようです。

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そしてフルーツ類。こうしたパイナップルを始め、マンゴーやその他見たこともない果物が豊富に栽培されていました。

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ちなみに、ここもアマゾンの他地域の例に漏れず、農地の開拓には野焼きが行われています。ただし、世界中で報じられた今年のアマゾン森林火災のニュースに敏感になっているのか、サンマルティンではそのような無秩序な野焼きは行なっていないということをガイドは強調していました。

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同じ農地を何年も使っていると土地が痩せてしまうため、数年農地として使った場所は10年ほど放置し、森林が復活した後にその場所を燃やしてから再び農地とするのが彼らの農業の基本です。サンマルティンでは決まった場所を順番に野焼きしているので、全体として農地の拡張はしていないとのことでした。

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ちなみに、農地として使った後に10年近く放置されて再び木が生い茂るようになった森は、二次林(英:Secondary forest、西:Selva secundaria)と言い、人の手が入っていない原生林(英:Primary forest、西:Selva primaria)とは明確に区別されています。

原住民にとっては二次林はもはや森では無いそうです。ちなみに、10年ほど放置された二次林は下の写真のような雰囲気。確かに午前中に歩いた原生林に比べるとまだまだ密度は薄い気がします。

 

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途中で雨が降って来たので農地散策は1時間半ほどで終了。この日の夕食は村で釣れたという魚でした。

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そして私の釣ったピラニアも。姿揚げにすると見た目は微妙ですが、淡白な白身魚で味はなかなかイケました。

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