歩く距離が27kmと最も長い2日目。起床したら簡単な朝食を済ませてボックスランチを受け取り、6時にはラタルデを出発しました。
まずはコルコバード国立公園の入り口であるロスパトスまで4km。ここの区間はアップダウンが続きます。
国立公園までの道のりは私有地。ガイドに教えてもらったところ、コスタリカには"PAGO DE SERVICIOS AMBIETALES"(=Payment for environmental services)という制度があり、森林を開発せずに生態系を維持すれば政府から補助金が出るそう。この国には50万種もの生物種が存在し小さい国土ながら世界有数の生物多様性を誇っていますが、こうした取り組みがあってこその成果なのでしょう。
最初の渡渉ポイント。前日のオリエンテーションでいくつか渡渉ポイントがあると言われていましたが、この程度なら問題なく渡れます。
朝靄のかかる森林は幻想的。朝はまだ気温も快適で、深呼吸をしたくなるような澄んだ空気です。
コスタリカの熱帯雨林にも竹は存在しました。竹というと東アジアを連想しがちですが、中南米やアフリカなど、意外と世界各地で自生している竹を見かける気がします。
1時間半でロスパトスのレンジャーステーションに到着。ここにはトイレがあり、水の補給も可能です。
ガイドが国立公園への入園登録をしてくれている間、しばし休憩。
ここのスタッフと立ち話をしたところ、もう1つの入り口であるラレオナに比べるとアクセスの悪さやアップダウンの多さからあまり人気が無く、このコースは1日1~2組しか通らないそう。その分動物との遭遇率は高いとのことで、期待は高まります。
ロスパトスを出発。まずは傍に流れる川を渡ります。ここは靴を脱ぐ必要がありました。
川を渡ったところからが国立公園の敷地内。ここから先は今日のゴールのシレーナまで、人口建造物の全く無い密林の中を23kmひたすら進みます。
ロスパトスから先は、最初の数kmはアップダウンが続くもののそれ以降は基本的にフラットな道。
まずは猿が出てきました。
続いて小さなヘビ。ガイドが指を噛まれながらも器用な手つきで捕まえてくれました。もちろん毒はありません。
青い羽根が美しいモルフォ蝶も数多く見かけます。飛んでいるところはさすがに写真には収められませんでしたが、ラッキーなことに落ちている羽根を発見したのでじっくり観察することが出来ました。この色彩の羽根を羽ばたかせながら飛んでいるので、ジャングルの中でもかなり目立つ生物の一つです。
木々も不思議な形状のものが数多く登場。これは根の部分が地上まで飛び出してきています。根に生えるトゲはかなり鋭いので要注意。
寄生植物。この類の植物はたくさん見かけました。動物だけでなく植物も弱肉強食です。
通称ブロッコリーツリー。上から見るとブロッコリーのように見えるらしいですが、下から見るとパセリの方がしっくりくる気がします。
再び渡渉。ここは丸太がかかっているので靴を脱ぐ必要はありませんが、落ちないように注意が必要です。
川の中もよく見ると魚がたくさん。
日本でも見かけるハキリアリ。見事に彼らの通り道だけ落ち葉が除けられています。
トカゲは無数に見かけました。
この日の大物は2種類。1つ目がこの大蛇。コース脇の木の幹で休んでいたと思われるところに遭遇しました。写真では規模感があまり伝わらないかもしれませんが、優に3m以上はあります。なかなかの迫力です。
もう1つはアリクイ。特徴的なフォルムは想像通りですが、思ったよりも小さいサイズでこちらも木の幹にいるところを遭遇しました。
こちらは好奇心が強いのか、蛇と違い我々を見つけても逃げることなく、むしろこちらをずっと観察しているような様子。
再び大きな渡渉ポイント。大きなものから小さなものまで、この日は10カ所以上の渡渉がありました。そのうち靴を脱がなければいけなかったのは、ここを含めて3カ所ほど。
トキ。日本人の感覚的には希少種ですが、実は様々な亜種が世界中に生息しているそうです。
再び猿。
フクロウ蝶。羽根の模様がフクロウの目玉にそっくりなことからこの名前が付いているとのこと。
シレーナに近づくと、シレーナを拠点としたデイハイクのコースと合流します。ここまで来たらゴールはもうすぐ。
午後4時、シレーナのレンジャーステーションに到着。ラタルデを朝6時に出発してから、10時間で27kmを歩き通しました。今夜はここで1泊します。
同行したハンガリー人が共有してくれたGPSによると、この日のデータはこの通り。前半はアップダウンがあったものの、やはり後半はフラットだったことがわかります。
また、休憩や動物観察等で止まっていた時間を除いた実質的な歩いた時間は7時間半だったよう。朝の数時間を除いては暑さと湿気が厳しい過酷なコンディションだったので、やはりたくさんの休憩が必要でした。
シレーナの周りにも動物は姿を現します。不思議なトサカの付いた鳥。
先ほどとは違う種類の猿。もちろん餌付けは固く禁止されています。
鷹でしょうか。外灯の上にずっと止まっており、ピクリともしませんでした。
今夜の寝床。屋根だけ付いた半屋外のスペースに設置された蚊帳付きの二段ベッドです。清潔感は十分。
トイレ、シャワーは共同。シャワーは水のみです。こちらも綺麗に掃除されており快適に利用できました。
ロスパトスからシレーナまでの標準コースタイムは8時間だそう。ラタルデからロスパトスまで1時間半かかったことを考慮すれば、ほぼコースタイム通りに歩いてきたことになります。
Feline(大型ネコ類)に遭遇した時の対処法。こちらに向かってきたら威嚇で応対し、それでも向かってきたら戦え、とのこと。戦って勝てる気はしませんが。
日没前、ガイドに連れられてバクを探しに海沿いまで歩いてみました。
ここで一番の収穫。まさに先ほど注意事項を確認した大型ネコを発見したのです。10m以上の距離があり、かつ写真を撮る間も無く走り去ってしまったので戦うはめにはならなかったのですが、そもそも大型ネコ類との遭遇自体がかなり稀なこと。ガイドがかなり興奮していたことからも、いかにこれがラッキーな体験だったかがわかりました。
とりあえず足跡だけは写真に収めます。ガイド曰く、ジャガーほどのサイズでは無かったので、恐らくはオセロットであろうとのこと。
日没後は食事を済ませたらさっさと就寝。長距離を歩いた疲労のおかげで、21時過ぎにはあっという間に眠りにつきました。