この日は鉄道とフェリーを組み合わせて、札幌から礼文島までの長距離移動。まずは札幌駅へと向かいます。
今回乗車するのは特急宗谷。札幌から稚内まで乗り換えなしで行ける唯一の特急で、1日1往復しか走っていません。札幌7:30発で稚内12:40着と、5時間超の旅。飛行機なら羽田からマニラやハノイまで着いてしまうほどの時間です。
1日1本にも関わらず、4両編成の短い特急。需要の少なさを物語っています。目的地である稚内市の人口は3万人程度ですし、旭川から先は目立った街も無いことを考えれば当然かもしれません。
ただ、この日は連休の初日。ホームに着くとコロナ禍はどこへやらの混雑で、自由席はこの通りの大行列でした。自由席車両は1両しかないので、座席争奪戦になることは必至です。
結局この日は立ち席が出て混雑をお詫びするアナウンスが繰り返し流れるほどの大盛況だったようで、途中下車をする人も少ないので稚内に着くまで席に座れずに過ごした乗客もいたようです。特急料金を払いながら5時間超も立ちっぱなしはさすがに悲劇。
私は数日前に指定を抑えており、無事に着席。指定席ももちろん満席でした。列車の座席は飛行機のエコノミークラスに比べると随分スペースが広いので楽ですね。
出発後、旭川までは田畑や市街地が続く典型的な地方の沿線風景。そこまでの北海道らしさはありません。
ちなみにこの列車、5時間以上も走る長距離特急にも関わらず、車内販売はありません。それどころか車内に飲み物の自販機も無し。途中の駅でも長い停車時間があるわけではないので、乗車前に飲食物の事前の調達は必須です。
今回、札幌駅で買ったのは「やまべ鮭寿し」。
鮭とヤマベが半々に入った押し寿司。ヤマベというのは聞き慣れませんが、ヤマメの北海道での呼び名だそう。駅弁というと内容の割に値段が高い印象がありますが、これは600円と中々お手頃な価格でした。
旭川を過ぎると、徐々に人口密度が下がっていき、風景にもワイルドさが増してきます。
車内放送では、エゾシカなどの野生動物が多数出没する区間に入るので急ブレーキにご注意下さい、といった北海道ならではの放送も流れました。実際、車窓が速すぎて写真は撮れなかったもののエゾシカは何度か見かけるなど、乗車時間は長いながらも、外を見ていても飽きません。
音威子府(おといねっぷ)駅。本州では聴き慣れない、アイヌ文化の残る北海道らしい地名の響きです。Wikipediaで調べたところ、アイヌ語の「オトイネプ」(=川口のにごっている川)に由来するとのこと。
稚内到着間近になると、少し海沿いも走ります。晴れていれば利尻岳が綺麗に見えるのですが、残念ながらこの日は曇天で全く見えず。
12:40、5時間10分の旅を終えて日本最北端の駅・稚内に到着。自由席で立ちっぱなしの人はお疲れ様でした。