Out of Office サラリーマン週末旅行記録

とあるサラリーマンの週末旅行記&搭乗記。2022年より米国在住。

4~5日目:リベリア〜シエラレオネ 陸路国境越え

モンロビアを1日観光した翌日は、この地を離れて隣国のシエラレオネまで陸路移動。リベリアシエラレオネは共に警官等の公務員が腐敗していることで有名であり、このルートも旅行者の間では"賄賂街道"と呼ばれるほど。なかなかハードルの高そうな行程になりそうです。

目指す目的地は、520km離れたシエラレオネの首都フリータウン。インターネット上の情報では基本的に1日で到達するのは難しいというものが大半なのですが、直近では道路の舗装状況が良くなり所要時間も短くなったという話も聞くので、朝早く出発し行けるところまで行ってみることにします。

ということで、夜が明けると同時に行動開始。赤道に近い割には以外と日の出が遅く、宿を出たのは6:30頃。まずはシェアタクシー乗り場のあるドゥアラ地区へと向かいます。 

ダウンタウンからドゥアラ地区への乗り合いトゥクトゥクが出発するのはBroad Streetと北へ向かうメインストリートの交差点沿いのこの辺り。運賃は100リベリアドル(=約50円)でした。

トゥクトゥクは3人乗りですが、既に2人の先客が乗っていたのですぐに出発。街の風景をiPhoneのカメラで撮影していたら、同乗者のおばちゃんから「ドゥアラ地区は危険だから、そのスマホは到着する前に隠すように」とありがたい助言を頂きました。

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15分ほどでドゥアラ地区のシェアタクシー乗り場へ到着。乗り場と言っても別にバスターミナルのような建物があるわけでも無く、道の脇に各方面へのシェアタクシーが並んでいるだけです。かなり雑然とした様子で、おばちゃんが治安が良くないと言っていたのも納得。あまり長居したい雰囲気の場所ではありません。

幸い、トゥクトゥクのドライバーが国境行きのシェアタクシーの正面で降ろしてくれたので、厄介な客引きに捕まることも無く済みました。特に目印はありせんが、国境行きが発着するのはこの辺り。

アフリカのシェアタクシーには時刻表など存在せず、満席になったら出発というスタイルが普通。この区間は普通の8人乗りセダン(助手席2人、2列目3人、3列目3人。西アフリカでは典型的な詰め込み型。)でしたが、既に大半の乗客が揃っていたため待ち時間もほとんどなく、7:15には出発となりました。運賃は1,500リベリアドル(=約750円)。

私の座席は助手席の内側。狭いのは耐えるしかありませんが、前方の眺めが良いのは助かります。

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モンロビアから国境は全区間舗装されており快適。途中2度ほど検問に捕まりましたが、特に賄賂を要求されることも無くスムーズに通過出来ました。助手席にもう1人乗っていたのが、国境へと向かう出入国審査官だったこともスムーズだった一因かもしれません。

9時過ぎ、モンロビアを出て2時間弱で国境の村、ボー・ウォーターサイド(Bo Waterside)に到着しました。130kmの道のりを2時間で走ったことになり、ここまでは完璧すぎるほどスムーズです。

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そのまま歩いてリベリアのイミグレオフィスへ向かいます。出国スタンプをもらおうとオフィサーにパスポートを渡すと「シエラレオネのビザは?」と訊かれたので、国境でアライバルビザを取得すると回答。

ここでオフィサーの顔が曇り、なにやら他の同僚と相談。こちらは賄賂の要求が出てくるかと身構えます。

そして言われたことは、「日本人にシエラレオネのアライバルビザが発給されるかここではわからない。あなたのリベリアビザはシングルエントリーなので、もしシエラレオネ側でビザが発給されないと、リベリアに再入国することも出来ずに困った状況になる。それを避けるため、今からシエラレオネ側のイミグレオフィスへ確認しに行くので、ここで待っているように。」とのこと。

この国境から出国する人は全員シエラレオネに向かうはずなのに、シエラレオネ側のアライバルビザの対象国も把握していないとはお粗末な気もしますが、とりあえず賄賂要求は無かったので安心。その後15分ほどでオフィサーがシエラレオネ側から戻り、確認が取れたということで無事スタンプを押してもらえました。

その後は別の部屋に連れて行かれ、リベリアでの滞在先等を申告したら無事解放。まずリベリア側の国境は問題なくクリアです。

国境はマノ川(Mano River)に架かる橋。やはり徒歩での国境越えはテンションが上がります。それが難易度の高い西アフリカであれば尚更。

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続いてシエラレオネ側のイミグレオフィス。アライバルビザを取得したいというと、先ほどのリベリア側のオフィサーからの事前の話があったせいか、スムーズにビザ発給となりました。価格は事前リサーチでは80ドルでしたが、国境では現地通貨払いのみということで800,000レオン(=約9,000円)。米ドルから両替すると85ドルほどかかってしまい少し割高ですが、まあ許容範囲です。領収書発行に20分ほど待たされましたが、賄賂要求等は一切無し。

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ちなみに、このシエラレオネ側の国境はつい最近まで有名な賄賂要求の温床でした。

その手口とは、シエラレオネ入国にはイエローカード(黄熱病予防接種証明書)の提示が必要なのですが、それに加えてコレラ髄膜炎の予防接種証明も必要だとでっち上げ、証明書を持っていない旅行者から賄賂(50ドル程度)を要求するもの。

インターネット上でも有名なやり口だったのですが、昨年夏にこの腐敗に遭遇したアメリカ人旅行者が一連の出来事をYouTubeにアップすると、その動画を目にしたシエラレオネ汚職防止委員会(ACC:Anti-Corruption Comission)が、アフリカらしからぬ迅速な行動で該当する国境職員を逮捕。それ以来ここの国境の腐敗状況はかなり改善したようで、私が通過したのは丁度良いタイミングだったわけです。

シエラレオネ側のイミグレオフィスを出たのは10:30。リベリア側と合わせ、1時間半で国境手続きを全て終えることが出来ました。

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国境から一本道を1kmほど歩き、シエラレオネ側の国境の村であるジェンデマ(Jendema)に到着。シェアタクシー乗り場はこの辺りです。この周辺にSIMカードを売る露店や両替商など、旅行者に必要なものはだいたい揃っていました。

フリータウンまで直で行くシェアタクシーもあるにはありましたが、人の集まりが悪そうだったので、ひとまずシエラレオネ東部の中心都市であるボー(Bo)まで行くシェアタクシーのチケットを入手。運賃は75,000レオン(=約850円)。

ここで社会人トラベラーならではの裏技発動。実は、こうしたシェアタクシーは1人で2人分の料金を払うことで、2人で座るはずの助手席を丸々1人で確保出来るのです。学生の頃は1円でも安く済まそうとこんなことはしていませんでしたが、当時よりは懐に余裕のある社会人ならではの選択です。ここから先は悪路との評判のため、更に75,000レオンを追加で支払い、助手席を独り占め出来ることに。

ちなみに、私が2人分購入すればその分だけ満席になるのも早くなり、ドライバーも早く出発できお互いにwin-winなのだから、少し値下げしてくれよとも思うのですが、そうした論理は全く通用せず、定価の2倍を払わなければいけません。西アフリカでは"時は金なり"では無いのです。

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ここではなかなか人が集まらず、1時間ほど待って11:30に出発。

ジェンデマから先の道は、想定通り舗装されておらずこのような状態でした。スピードは出せても時速30km程度といったところです。今は乾季なのでまだマシですが、雨季は路面状態も更に悪くなりもっと時間がかかることは確実。

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エンジントラブルで途中休憩。車を限界まで酷使するアフリカでは、こうしたストップも織り込んでスケジュールを立てないと痛い目に遭います。

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途中すれ違う車は、これでもかというほどの物資を運搬していました。乗用車の屋根の積載重量は何kgなのでしょう。

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ただし、ところどころ舗装に向けた工事は始まっている模様。あと1~2年で、ここもまともな道になることを期待します。

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途中、ジンミ(Zimmi)の村を通過したのが13:00頃。ジェンデマからジンミの区間には検問が無かったにも関わらず、45kmを通過するのに1時間半も掛かりました。

ジンミから先は舗装道路が完成しており快適。

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ジンミを出てしばらく進んだ先に流れるモア川(Moa River)。ここも元来は橋が無く、渡し船に車ごと乗せて渡らなければならなかったのですが、EUの支援で建設された橋が昨年完成し、かなりの時間短縮になったとのことです。同乗者の地元民も橋を渡るときはかなり興奮していたので、本当に完成して間も無いのかもしれません。

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ボーまでの間に検問は3ヶ所ほど。そのうち1ヶ所では乗客全員が車を降ろされ身分証明証チェックを受けさせられましたが、賄賂要求は無し。

ただし、外国人はパスポートを見せるだけですぐに済んだのですが、自国民に対してはオフィサーが身分証を隅から隅まで粗探しをして難癖をつけようとしていたらしく、検問通過後の車内では乗客同士が警官の悪口で意気投合していました。

彼ら曰く、自国民に対しても警官による難癖からの賄賂要求は日常茶飯事だとのこと。やはり相当根深い問題のようです。

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15:00頃、ボーの街に到着。ジンミからボーは110kmほどありますが、検問を含めても2時間ほどの所要時間だったことになります。この区間はずっと舗装道路で快適だったので、ハードモードだったのは実質最初の1時間半のみでした。

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ボーで降ろされたのはこの辺り。逆にボーからリベリア国境に向かう際も、シェアタクシーはここから出発するはずです。

ボーからフリータウンは3~4時間ほどかかるらしいので、頑張ればこの日のうちに行けないこともないのですが、暗くなってからフリータウンに着くのは少し不安なので、この日はボーで1泊することに。街唯一のまともなホテルである、Dohas Hotelに宿泊しました。シェアタクシー乗り場からは、バイタクで3,000レオン(=約30円)。

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朝食付きで1泊540,000レオン(=約6,000円)。部屋にはエアコン、テレビ、蚊帳、冷蔵庫が備えられていました。街から少し離れているので、この晩は部屋でゆっくり過ごします。

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 そして翌日。ホテルのレセプションでフリータウン行きのシェアタクシーはどこで乗れるのか?と訊くと、"New London"との答え。どうやらその名前の地区から出発するようですが、Google Mapで見ても全く引っかかりません。

ホテル前でバイタクを捕まえ、運転手にフリータウンに行きたいというと、それならNew Londonと同じことを言うので、どこだかわかりませんがNew Londonまで連れて行ってもらうことに。

結果、以下の場所がフリータウン行きのシェアタクシーの発着所でした。

バイタクを降りるや、客引き同士の争奪戦。ボロい車から比較的まともな車までピンキリなので、しっかりと吟味します。また、乗客の埋まり具合や、昨日味を占めた助手席が空いているかどうかも要チェック。

結果、今回はそれなりに新しいハイエースの助手席をゲット。40,000レオン×2人分で80,000レオン(=約900円)です。

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ボーとフリータウンを結ぶ道はシエラレオネの大動脈。15分ほどで座席も埋まり、9:00頃に無事出発しました。

座席前の窓ガラスに貼られた国旗はイギリス、シエラレオネアメリカ。英国系の旧植民地ということでイギリスには親近感があるようですし、世界の大国アメリカはやはりアフリカでは大人気です。

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道中に見える民家は本当に簡素なもの。電気・水道・ガスは当然まだでしょうし、下手したら100年前とほとんど変わらないでは無いか?と思ってしまうほど。

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首都フリータウンは、大西洋に突き出るフリータウン半島の先端部にありますが、その半島の付け根にあるのがウォータールー(Waterloo)の町。ブレー(Bureh)やリバーナンバー2(River No 2)等のビーチへ向かう場合は、ここで乗り換えです。12:00頃に通過しました。

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ウォータールーからフリータウンまではずっと市街地。途中で少しずつ乗客を降ろしながら進みます。私が泊まる宿はかなり半島の先端の方なのですが、そこまではシェアタクシーは行かないということで、ドライバーにタクシーを捕まえてもらい、それに乗り換えて移動。

これが首都フリータウンモンロビアに比べると一段と規模が大きい印象です。

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フリータウンの中でも、コンゴタウン(Congo Town)というエリアにある宿Jam Lodgeに着いたのは13:30。これにて1日半に亘る陸路移動も無事完結です。

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宿代の高いフリータウンにおいて、テレビ、冷房、温水シャワー、朝食付きで1泊67.5ドル(=約7,000円)は破格。Booking.comでの評価が高いのも納得の宿でした。

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