Out of Office 旅に出よう

とあるサラリーマンの週末旅行記&搭乗記

6日目:世界遺産の町シンゲッティ散策

シンゲッティに着いたのは15時過ぎ。この日の宿はフランス人が経営するLa Gueilaというペンションを想定していたのですが、行ってみるとまさかの満室。ということで、ネット上でも良く見かける片言の日本語を話すモーリタニア人のアブドゥという男が経営する宿、オーベルジュ・ザルガにお世話になることとなりました。

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トイレ・シャワー共同、エアコン付きの個室です。言い値は1泊400ウギアのところを値切って200ウギア(=約600円)。

ちなみに、オーナーのアブドゥというのは、噂に違わずかなり怪しい男です。先人の旅行者の皆さまの評判はインターネットでもちらほら出てきますが、私が経験したのは以下の通り。

ケースその1:WiFi

<部屋の値段交渉時>

私「WiFiあるの?」

アブドゥ「ある。ポータブルルーターを常に置いてあるからいつでも使える。」

私「すごいね。オッケーオッケー」

<チェックイン後>

私「WiFiのパスワード教えて。」

ア「今の時間はMauritelの電波が来ないので使えないんだわ。」

私「え?(言ってることが違う・・・)私のSIMカードもMauritelだけど、今も電波キャッチしてるよ。」

ア「SIMカード持ってるならいいじゃないか、それを使えばいい。」

私「(話を逸らす気か・・・)いやいや、ルーター見せてよ。」

ア「WiFiの契約が従量制なので、チャージしないと使えない。夜まで待って。」

私「(電波が来ないという話は何だったのか・・・)」 

ケースその2:夕食

ア「夕食用意できるけど、いる?」

私「いくら?」

ア「300ウギア」

私「(情報ノートの値段と違うな・・・)情報ノートには100ウギアって書いてあるよ?」

ア「それはクスクスだけの場合。300ウギアならチキンにスープも付ける。」

私「(情報ノートにはチキン付きだったと書いてあるんだけど・・・)ちょっと考えるわ。近くにレストランとかもあったよね?」

ア「こんな小さい町にレストランなんて無い。」

私「え?さっきすぐ近くで一軒看板を見かけたよ?」

ア「(知ってたのか!と慌てた感じで、)あれは観光客がたくさんいないとオープンしない。最近は人が減っているから無理だ。」

私「(怪しい・・・、どうしてもここでの夕食に誘導したいだけだろ・・・)」

→結局、この日の晩はそのレストランは普通に開いていました。

このように、すぐバレる嘘をつく、という途上国の嘘つき男によくあるパターンでした。この無駄なやりとりは疲れますが、これも途上国旅行の醍醐味とも言えます。

ただ、片言の日本語はまあいいとして、彼が英語を話せるのはモーリタニアにおいては大きなアドバンテージ。それに部屋はこんな感じで、エアコンの効きも十分で寝る分には問題無しでした。これで200ウギアであればまあトータルでは悪く無いでしょう。

(シーツがぐちゃぐちゃなのは、チェックアウト前に写真を撮ったからです。 )

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シンゲッティの町は手前の旧市街と奥の新市街に分かれており、アブドゥの宿は新市街の最も旧市街に近い側。宿があるのはほぼ新市街のみなので、旧市街へのアクセスという意味でも立地は良いです。

旧市街と新市街の間にはワジが流れており、大雨が降ると数日間は旧市街側は陸の孤島になるとのこと。通常は少年達のサッカーコートになっています。

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シンゲッティは8世紀から11世紀頃にかけて、当時一帯を支配していたガーナ王国(現在のガーナとは無関係)の下で、地中海沿岸とサブサハラ地域を結ぶ交易拠点として栄えた歴史ある都市として、世界遺産にも登録されています。

現在の一番の見所は、当時の書物を数多く保管している図書館。一部資料を今でも見ることが出来るのですが、管理人は英語を全く話さないとのことなので、アブドゥに200ウギア(=約600円)を払って同行をお願いしました。

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中に入ると、歴史ある書物がずらっと並ぶ書棚が目に入って来るかと思いきや、予想に反して現代的なロッカーにファイルが積まれています。まるで日本のオフィスの書庫のよう。

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あれ?と思っていたら、管理人が奥の部屋からそれらしい書物を持ってきてくれました。手にも軍手を嵌めており、本格的な感じがします。これはコーランとのこと。

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こちらは数学に関する本。10世紀頃のものらしいです。

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カーバ神殿を書いた図。当時からこの辺りはイスラム教の影響かにあったようです。これはコピーのみで原本は見せてもらえませんでしたが。

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この図書館、確かに資料は古めかしい感じなのですが、アブドゥ経由で管理人に何を質問しても「それはわからない。」とか「それは見せられない。」ばかりで、正直こちらの理解はほとんど深まりません。何となく有難いものを見せてもらった気になりますが、極論を言えばあれが全部偽物でもこちらは判断しようがない訳で、何となく消化不良感が残りました。

ミュージアムもあるようですが、こちらは閉まったまま。

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アブドゥと別れて、一人で旧市街をぶらぶら。過去の書物は全て先ほどの図書館に集められていますが、かつての図書館の建物自体は全部で5カ所あります。ただ、看板が無ければそれとは全くわかりません。

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図書館と並ぶもう一つの見所が、この金曜モスク。諸説あるらしいですが、現地ではこのモスクはイスラム世界の中で2番目に古い現存する建物で(1番は不明)、イスラム教で7番目の聖地(1番はメッカでしょうが2番から6番は不明)と言われています。

真偽の程は別にして、歴史ある建物であることは確かであり、モーリタニア人にとっては国家を象徴する建物であり、ウギア紙幣にも描かれています。ミナレットの最上部の四隅にある丸い構造物は、ダチョウの卵を模しているそうです。

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シンゲッティの旧市街は、急速な砂漠化の影響をダイレクトに受けており、町の裏にはもう砂丘が広がっています。

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旧市街の端に来ると、もう半分砂に埋まっているような住居も見受けられました。

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放棄されている家も多いですが、こうやって砂を掘って入り口を確保し、住み続けている人も多いようです。あと何年持つことやら。

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そのまま砂漠へ。この町には当然ゴミ回収システムなど整っていないので、プラスチックゴミは全て砂漠へ捨てることになっているようです。これは観光客的には少し幻滅。

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それでもゴミ捨て場を越えて少し砂丘の奥に入ると、これぞサハラ砂漠という絶景が広がっていました。どこまで行っても砂のみです。

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表面には風紋が綺麗に描かれています。

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反対側にはシンゲッティの町。私の足跡だけがくっきりと残っています。これくらい歩くと、ゴミも見えず町の喧騒も全く聞こえないので、生命の気配も風以外の音も全く無い、砂漠の"無"の空間を体感可能。

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ここでサンセット鑑賞。良い時間でした。

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夕食は例のアブドゥが閉まっていると言っていたレストランへ。店を一人で切り盛りしていたのは感じの良い黒人の若者で、夕飯を食べに来たというと屋上の"テラス席"に通してくれました。

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屋上は夜の風が心地よく快適。奥には旧市街を臨めます。

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メニューはチキンorサンドイッチ、とのことだったのでチキンを注文すると、出てきたのは昨日アタールで食べたものとほぼ同じ味付け。写真ではよくわかりませんが、野菜とポテトの下にチキンと玉ねぎの甘辛ソテーが埋まっています。モーリタニアの定番料理のようです。これで150ウギア(=約450円)と、結果的にはアブドゥのところで300ウギアも払わずに大正解でした。

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