この日の出発も朝6時。今日はゴールまで19km、基本的には海岸線沿いを歩くのでアップダウンはほとんど無いはずです。昨日足の裏に水ぶくれが出来てしまったので、ガイドにテーピングをもらって手当てをしてから出発。
シレーナのレンジャーステーションの正面には、海岸線まで原っぱのような空き地が広がっています。これは元々滑走路だったとのですが、離発着には難易度が高かったらしく、唯一操縦が出来たパイロットが数年前に引退してしまったため、今では使われていないとのこと。現在はここに来るためにはカラテかロスパトスから20km歩いてくるか、もしくはボートに乗るしかありません。
滑走路近くでまずはコアティ(ハナグマ)に遭遇。幸先の良いスタートです。
朝の早い時間帯は、夜行性のバクを見つけるのに最適の時間。湿った地面を好むとのことで、海岸線沿いを歩いて探します。
しかし、今回はバクを見つけることは出来ず。こればかりは運次第なのですが、やはり残念です。唯一見つけられたのはバクの糞だけでした。
ボート乗り場の前に立つ看板にもバクのシルエット。やはりバクはこの公園のシンボルのようです。
気を取り直して歩きます。国立公園の出口であるラレオナまでは16km。
歩き始めて割とすぐのタイミングで、今回の3日間で一番広い川の渡渉ポイントがあります。
ここは海岸近くなので、この川も潮の満ち引きのタイミング次第では腰より上まで水が来てしまい、潮が引くまで渡れなくなることもあるそう。幸いこの日は朝に干潮となったので、膝下程度の水深で難なく渡れました。
この日は基本的にずっと東に向かって歩いて行くので、日差しがきつめ。
砂浜には足跡が残るので、どのような動物が歩いたかすぐにわかります。これは海鳥とハナグマでしょうか。
ヤシの実もヤシの木も何度も見たことはあるので珍しくもなんともないのですが、こうやってヤシの実から芽が出てきているのは初めて見ました。
海岸線沿いには波に乗って様々なゴミが流れ着いてきます。それに対して、今回ツアーを催行しているOsa Wildでは"Corcovado Limpio"(=Clean Corcovado)という取り組みを行っていました。各ツアーグループ毎にゴミ袋1つ分のゴミを集め指定されたゴミ置き場に置くというもので、置かれたゴミはまとめてボートで街に持っていくそうです。我々も1袋分ゴミ収集してわずかながら環境保護に貢献。
海岸沿いにはヤドカリが多く見られます。これもドイツ人、ハンガリー人は初めて見たらしく、興味津々な様子で触ったり写真を撮影したりしていました。日本人としては珍しくもなんともないヤドカリですが、初日のセミに続きこうしたところで欧州と日本のの環境の違いを実感するのも面白いものです。
またも不思議な形状の木。1本なのか、多数なのか。
この日見かけた動物たち。まずは猿。
別の種類の猿。器用にぶら下がりながら木の実を食べています。
蟻の大群。気づかずに彼らの通り道の上で立ち止まっていたら、敵だと勘違いされたのか働きアリ達が靴から足を登って噛み付いてきたので大変でした。
ペッカリー。日本語ではヘソイノシシというそうです。
赤い喉ボトケが印象的な七面鳥のような鳥。Crested Guanという名前です。
再びコアティの集団。
コアティは人見知りしないのかどんどんこちらに近づいてきます。良い意味で人間の恐さを知らないのでしょう。さすが、よく管理された国立公園です。
サギもかなりの近さまで接近してきました。
色鮮やかなカエルは毒ガエル。触るくらいであればすぐ手を洗えば問題無いのですが、触った手で目をこすったりすると大変なことになるようです。
鷹。ガイド曰く主にカニを餌とするらしく、海岸沿いの枝に止まってジッと海を見つめていました。
葉っぱの裏でお休み中のコウモリ。下から覗き込まないとわからないのですが、ガイドは簡単に見つけていきます。不思議。
人っ子ひとりいない自然のままのビーチを歩くのは気分爽快。足裏が水ぶくれになっても来る価値はあります。
砂浜に残るのは我々の足跡のみ。
ただし、大半は海岸沿いですが一部にはこのような急傾斜の部分も歩くので、一応靴はしっかりしたものの方が良いでしょう。
途中、こんなところも通ります。写真だと簡単そうに見えますが、岩で足場が悪く、波もどんどん押し寄せるので、意外と気を使うところ。
このような部分は全部で2カ所ありました。まだ潮の満ち始めのタイミングなのでなんとかなりますが、ここも満潮時には通れなくなるよう。
途中、自然のプールのようなところで休憩。30度を優に超える暑さなので、少し泳いで体を冷やします。
良い天気。最高の休暇です。
座礁船。
墓地を通り抜けたらラレオナはもう近く。この一帯が国立公園に指定されるまでは、このジャングルの中にもいくつか集落があり、その名残です。
この頃になると、もはや渡渉時に靴ごと水に足を踏み入れてしまっても気にしなくなります。
ラレオナに到着。13時半なので、19km歩くのに7時間半かかりました。ここから先は国立公園外ですが、車が入ってこられるカラテまで残り3kmです。
カラテからラレオナの間は日帰りで来る人も多いらしく、この辺りは砂浜の足跡も多数。
この最後の区間では、またアリクイと遭遇しました。愛くるしい見た目ですが、あの爪でひっかかれたら間違いなく大怪我でしょう。
隣の木にはヘビもいました。アリクイとヘビが戦ったらどっちが強いのでしょう。
カラフルなインコも。けたたましい鳴き声です。
この立派な根を張る巨木のところでゴール。3日間で約50kmを踏破です。ジャングルトレッキングは初めての経験で、山岳トレッキングと違い暑さと湿気にはかなり苦しめられましたが、知識豊富なガイド、和気あいあいとしたグループ、次々と現れるたくさんの動物達のおかげで楽しめた3日間でした。
3日目のGPSデータ。ほとんど高低差はありません。
カラテからは車でプエルトヒメネスに戻り、行程終了。この日の夜はガイドを含むグループ全員で町のレストランに繰り出し、久々の美味しい食事を満喫しました。