この日はアルジェから60kmほど離れた、世界遺産のティパサ遺跡を訪れます。ガイドとは朝9時にホテルロビー集合だったので、その前に1時間ほどアルジェの街をぶらぶら。
街の中心に立つ中央郵便局。フランス領時代の有名な建築の一つだそうです。
この辺りは完全にフランス風の街並みで、写真だけ見るとマルセイユと見間違えてしまいそうなほど。
昨日の選挙のポスターがまだ残っています。ただ、この掲示板もこの日の夜には撤収されていました。アルジェリアの公務員の意外と素早い仕事ぶりには驚き。
アルジェは坂の街。海岸から少し離れるとすぐ上り坂になるので、どこに言っても良い景色が眺められます。
途中トンネルを歩いたのですが、側壁には小洒落たライティングが施されていました。この辺りはさすが元フランス領。
9時にはホテルに戻ってガイドと合流し、ティパサ方面へ車で向かいます。
中心部を出て少し走ると、大きなスタジアムが右手に見えました。サッカー代表チームのホーム試合でも利用される、謂わば日本でいうところの国立競技場のようなスタジアムです。
ちなみに、アルジェリアでもサッカー人気は高く、地元のアルジェリア人と話していても、日本人だとわかると「シンジ・オカザキ!」と声をかけられることが多くあります。アルジェリア代表のスタープレイヤーであるマフレズと同じチーム所属なので、岡崎慎司はそれなりにアルジェリアでも知名度があるようでした。
ティパサの前に、まずはアルジェリア版のピラミッドのようなものである、マウレタニア王家の墓に立ち寄ります。
これは、この一帯がローマ帝国の支配下にあった紀元前3世紀頃、その属国であったマウレタニア王国の王だったベルベル人のユバ2世の墓ということです。
ユバ2世の妻も一緒に埋葬されているようなのですが、その妻セレネは、かの有名なエジプト女王クレオパトラの娘。あまりこの時代の歴史には詳しくないのですが、ユバ2世とセレネは共にローマで養育を受け、そこで結婚したのちにユバ2世の故郷であるこの地域に帰ってきたとのこと。
昔はこの墓の内部にも入場することが出来ていたようなのですが、維持管理が出来ないためか現在は閉鎖されており、外観を眺めることしかできません。
説明書きもフランス語・アラビア語しかなく英語が皆無なのは残念。外国人観光客を呼び込もうなどという気はさらさら無いようです。
墓の横には即席のチャイ屋が出店していたので、ここで休憩。砂糖がたっぷり入った激甘のチャイでした。
ラクダが一頭だけ連れて来られており、いくらか払えば乗せてもらえるようでした。観光客向けとはいえ、砂漠でもないので気分も盛り上がらないと思うのですが。
続いてティパサ遺跡へ。着いたのがちょうど昼頃だったので、適当な食堂でランチを済ませてから入場です。ここではアルジェからのガイドの他に、遺跡に詳しい専門のガイドがもう1人付き、各ポイントで細かく説明をしてもらえました。
ティパサもローマ帝国領時代の遺跡。当時のマウレタニア王国の首都シェルシェルの玄関口として発展した港町だったそう。
コロッセウムの跡。ローマ帝国の文化圏であったことの何よりの証拠です。
ティパサと首都シェルシェルを繋いでいた当時の街道。ローマ帝国は各地で街道を整備したことで有名なのは今更言うまでもありません。
ローマ帝国時代のティパサは魚醤の生産で栄えており、帝国領土各地へ輸出していたとのこと。これは魚醤を貯蔵していた水槽です。
港があった方向へと続く道。当時はこの部分には全てアーチがかかっていたようです。
全盛期には人口3万人に達したと推定されており、遺跡もなかなか大規模なもの。
週末だったこともあり、遺跡はアルジェリア人の観光客で賑わっていました。アルジェの住民にとってはちょうど良い日帰りの旅行先になっているようです。
ローマ帝国時代のタイルがまだそのまま残っています。その上を今も土足で歩けるというのは、歴史遺産の維持という観点では少しお粗末な気もしますが。
海は透明度抜群。さすが地中海という色をしています。
遺跡を一回りしたら、次は遺跡に隣接する博物館へ。本当に希少価値の高いタイルやその他の発掘物はこちらで保管・展示されているのでした。
こんな大規模のモザイクタイルまで。当然復元したレプリカかと思ったのですが、ガイドに確認したところ全てオリジナルとのこと。驚くべき保存状態です。
ティパサ遺跡の見学を一通り終え、アルジェへ戻る途中でガソリンスタンドへ立ち寄りました。そこでガソリンの値段をチェックしたところ、なんと1リットル40ディナール (=40円)。これでもずいぶん値上げされたとのことですが、さすが産油国の本領発揮です。
アルジェに戻ってきたらこの日はガイドとはお別れ。ホテルで休憩して、暗くなった頃に少し夜の街を散策に出かけました。
アルジェの標識はずいぶんレトロな雰囲気で味があります。
大通りは夜でも特に問題が無いのですが、一歩曲がろうとするとそこは真っ暗。人の気配もあまり無いし、できるだけ近寄らないようにしました。
アルジェでの主要なモスクの1つである、ケチュワモスク。オスマン帝国領時代からある歴史ある建物ですが、フランス領時代には教会に建て替えられていたそうです。
トルコ政府の支援で修復が行われたばかりのため、正面にはアルジェリア国旗と並んでトルコ国旗が掲げられています。
海岸沿いの通りをぶらぶら。アルジェリア人は個人レベルでは良い性格の人が多く、こちらが街でキョロキョロしているとすぐ話しかけて来てくれます。政治が腐敗していることを除けば、なかなか良い印象の国です。
海沿いの夜景。夜でも新モスクと記念塔の2台タワーは燦然と輝いていたのでした。