空港から車に乗り、まずは世界遺産に登録されているカスバ地区へ直行します。到着日がちょうど地方議会選挙の投票日だったため、街中には選挙ポスターが溢れていました。
丘に沿って広がるカスバの最上部まで車で到着。目印はオスマン帝国時代にアルジェ知事だったバルバロッサ提督の銅像です。ここからカスバを散策しながら海沿いまで下りていきます。
カスバとは、オスマン帝国領時代に発展したアルジェの旧市街のこと。その後のフランス領時代に発展した新市街とは雰囲気が全く違い、狭く入り組んだ路地が特徴です。
この特徴的な入り組んだ街並みのため、独立戦争時代には独立派の反乱軍が地の利を活かそうとカスバ地区に立て篭り、激戦地となった歴史もあります。
20年ほど前まではカスバといえばアルジェでも有数の治安が悪い地区だったのですが、ガイド曰く最近では治安面では安定してきているとのこと。
それでも、建物の老朽化はかなり進んできており、このようにすでに朽ち果ててしまった建物もいくつかあります。せっかくの世界遺産ですが、アルジェリア政府は十分なメンテナンスができていないようです。
一軒の家で屋上に上がらせてもらうことができ、カスバから新市街にかけてのアルジェ全景を眺めることができました。
左奥に見える高い塔は現在建設中の巨大モスクのミナレットで、完成するとミナレットとしては世界一の高さになるとのこと。また、右奥に見えるタワーは1982年にアルジェリアの独立20周年の節目に建設された記念塔。どちらも権威主義体制の国家によくありがちな、時の大統領の威信を高めるための道具の一つです。
カスバでも選挙ポスターはあちこちに。イスラム圏ですが、女性の議員もいるようです。
路地が狭すぎて、道の両脇にある家の2階部分同士はほぼ接触しあっている様な状況。
カスバを歩いていると頻繁に発砲音のような音が聞こえます。最初は何か物騒なことが起こっているのかと心配しましたが、原因は子供たちが遊んでいる爆竹でした。
爆竹は路上の出店で簡単に買うことができ、子供たちの手軽な遊び道具になっていた様子。
1時間ほどガイドと一緒にカスバの中をぶらぶら歩いて、ようやく海岸沿いにある旧市街まで到達しました。
デーツ屋。1kgで650ディナール(=約650円)は日本の感覚でいえば破格の値段。
新市街からは再び車に乗り、ノートルダム・ダフリク大聖堂(Fr: Basilique Notre-Dame d'Afrique, En: Basilica of Our Lady of Africa)へ。アルジェ湾を一望できる丘の上に位置する、フランス領時代に建設された大聖堂です。
現在のアルジェリアにはキリスト教徒はほとんどいないはずですが、イスラム教徒の人たちも公園的な感覚で敷地内のベンチ等でおしゃべりを楽しんでいるのが、少し不思議な感じ。
大聖堂内部は、入り口より奥は写真撮影禁止。正面に掲げられた"Notre Dame d'Afrique priez pour nous et pour les Musulmans" (En: "Our Lady of Africa, pray for us and for the Muslims")は、なかなか考えさせられるメッセージです。
この日の観光はここまで。ガイドにホテルまで送り届けてもらい、チェックインを済ませます。今回2泊するのはST HOTEL。英語がほぼ通じないこの国で、レセプションのスタッフは少しであれば英語を理解するので、ガイドがいない時でもコミュニケーションに困らずに助かりました。
部屋はベーシック。今回の宿代は個人ツアー代に含まれているので正確にはわかりませんが、個人で予約すると7,000~8,000円はするそう。アルジェリアはあまりコスパの良い国ではありません。