バリクパパンのホテルで13時にピックアップをしてもらい、車に乗ってサンボジャ・レスタリへ。
サンボジャ・レスタリとは、バリクパパン近くの熱帯雨林に造られた、オランウータンやマレーグマを保護し、野生に戻すための訓練を行うリハビリセンターです。施設内にはサンボジャ・ロッジという宿泊施設もあり、泊まりがけの見学プログラムも用意されているので、今回は1泊の予定で訪れました。
バリクパパン市内からは約2時間でサンボジャ・ロッジに到着。熱帯雨林と一体化しているかのような建物です。
事前に調べたところ、屋上に位置するスイートルームは眺望が良いとの評判だったので、そちらを予約しておきました。1泊290万ルピア(=約2.4万円)と、なかなかの価格設定です。
スタンダードルームではシャワーは水のみですが、スイートはお湯あり。ジャングルの中で汗だくになった後はやはり熱いお湯のシャワーがあると助かります。
テラスからは事前の評判通り、視界いっぱいに密林が広がります。保護されているオランウータンの鳴き声が時折聞こえてくる以外は静寂に包まれた環境です。
到着日の午後はマレーグマの保護施設へ。施設の敷地内ではロッジ内部を除いて個人行動は認められておらず、必ずガイド同行です。
柵で仕切られたエリアに、50頭前後のマレーグマが保護されていました。ほとんどはペットとして飼育されていたものの飼い主の手に負えなくなってしまったケースだとか。
クマをペットにするとは日本では想像しがたいですが、サイズが小さいこともありインドネシアをはじめとする東南アジアでは普通のことのようです。
一部の攻撃的な性格のクマは個別の檻で隔離されています。舌が長いのはマレーグマの特徴。
1時間ほどの見学を終えてロッジに戻ってきたら、あとはテラスでのんびり読書。
夕食は簡単なブッフェ形式。肉料理が1品、魚料理が1品と野菜程度の質素な食事ですが、立地を考慮すればこんなものでしょう。
翌朝はきれいな日の出を期待していたのですが、残念ながら雨模様。
それでも、オランウータン保護区へ向かう頃には雨は止んでくれました。
オランウータンの保護施設はいくつかの区画に分かれており、今回見学ができたのは、周囲に運河を這わせて造成された人工島のような場所。
この人工島で暮らしているのは、オス1頭とメス2頭。オランウータンは1つの区画にオスを複数入れると争いになってしまうため、オス同士は分けて生活させる必要があり、それが理由で保護にも広大な土地が必要になってしまいます。
餌は朝夕の1日2度、スタッフによって投げ込まれます。こうしたスタッフには現地住民を雇い入れており、地元への経済的な貢献も大きいことが、この施設が現地社会から理解も得られている理由なのでしょう。
リハビリのレベルに合わせて、餌の仕掛けも様々。自然に戻った時に自力で餌を見つけられることができるように工夫されています。
そのほか、リハビリの進度に合わせて、より原生林の環境に近い区画で生活させ、葉や枝を使った寝床の作り方、天敵の見分け方等を学んでいくのですが、家庭でのペットやサーカス団から保護されたオランウータンは精神面での傷が大きく、残念ながら森へは復帰できずにこのリハビリセンターで一生を終える例も少なくないとのことでした。
最後は施設のオフィスでレクチャーを受けて、プログラム終了。リハビリ施設という、野生環境とも動物園とも違った環境をガイド付きでじっくり見学し、なかなかユニークな経験ができる場所でした。