この日の羽田行きのゲートはB1。一番端なので結構歩かされました。
そして、このB1は何とバスゲートでした。天下のエミレーツですから、エコノミー客と混載にされるなどという心配は無用だったのですが、ゲート前に駐車しているのはエコノミー用のバスとビジネス用のバスのみ。どうなるのかと思いましたが、スタッフにファーストクラスのボーディングパスを見せたところ、ベンチに座って待つようにとのこと。
結局、エコノミーとビジネスの客が全て捌けた後にファースト用のバスが横付けされ、乗車となりました。バスゲートの場合はファースト客は最後の搭乗というのが基本のようです。
バスは先ほどの到着時と同じ内装。乗客は私を含めて5人でした。
A380がずらっと並ぶ、ドバイならではの風景。
機材は今回もB777-300ER。タラップから搭乗です。ドア前にクルーが待機しており座席まで案内してもらえるのですが、一緒のバスに乗ってきたうちイギリス人男性と思われる乗客が1名なにやらクルーと少し揉めていました。15分以上揉めた挙句に、最終的にそのイギリス人はビジネスクラスへ。何だったのかよくわかりませんが、これでファーストの乗客は4名となりました。
シートの設備はコロンボからの便と同じ。荷物は左奥のベルトで囲われた部分に収納します。
前回の便との違いという意味では、今回は長距離便だからか、スナックバスケットが用意されています。内容はポテチやクッキー、エナジーバー、ドライフルーツなど。当然離陸時は置いておけないので、離陸前に一度回収された上で離陸後に再度セッティングされました。
引き出しにはノートとボールペンのセット。もちろんエミレーツのロゴ入りです。
開閉式の鏡の下には簡単なアメニティが配置されていました。
座席脇にはミニバー。これはコロンボ便と同じ。
そしてパーソナルモニター操作用のタブレット。これがあると、映画を見ている時でもタブレット画面ではエアショーを表示して現在位置を把握できるので便利です。
席に着くと早速クルーがアラビックコーヒーとデーツを携えて挨拶にやってきます。今回のファーストクラス担当クルーは4名で、パキスタン人男性、ルーマニア人女性に加えて日本人女性が2人とのこと。日本人がいるとやはり安心します。ちなみに、クルーに教えてもらった情報によると、この日は副操縦士も日本人だとのことでした。エミレーツ全体でも日本人パイロットは10人程度しかいないらしく、かなり稀なことだそう。
例のイギリス人乗客の揉めごとで少しドアクローズが遅くなり、定刻より少し遅れて出発しました。
経験上ドバイ発は北向きの出発になることがほとんどなので、左側の座席を確保しておければブルージュハリファ等の高層ビルが臨めます。
離陸後、まずはシャンパンから。エミレーツのファーストといえばドンペリですが、この時は、通常のものよりも熟成期間が長く希少価値の高い"P2"が期間限定でサーブされていました。
温められたナッツと一緒に。ナッツは多分、以前ビジネスに乗った時にサーブされたものと同じだった気がします。
続いてテーブルセッティングをしてもらい、食事の準備が完了。パンはバスケットで配られる方式です。
この日の食事メニュー。朝発の便ということで、最初に載っているのは朝食。
続いてカナッペとメインの前菜。
最後のページには和洋それぞれのメイン。ただし、掲載の順序に関係なく、到着までの好きなタイミングでメニューの中からどれでも組み合わせてオーダーが可能です。基本的に決められたタイミングで一斉に配膳されるビジネスクラスとはそこが大きく違います。
ということで、まずはカナッペとキャビア。そこまで魚卵は好きでは無いのですが、ファーストクラスに乗ると貧乏性なのでついキャビアを頼んでしまいます。量はたっぷり、コンディメントもしっかり揃っていて、さすがのプレゼンテーション。カナッペも少量ずつですが美味しくいただきました。
メインはチキンのモロッコスパイス。名前の通り香辛料でしっかり味が付いていて、アラブ風な仕上がりです。
ラストはポートワインとチーズプレート。チーズが6種類あり、メニューにはそれぞれのチーズの解説が乗っているほどの充実ぶり。
ゆったりしたペースの食事で、終わったのはカラコルム山脈に差し掛かるあたりでした。パキスタンのアフガニスタン国境付近という、タリバンやらISやらが地上では幅を利かせていそうな地域を飛行していくルートです。
外を見るとヒマラヤが近くにつれて山がちな景色に。
そしてカラコルム山脈越え。7,000~8,000m級の山々と氷河、深い谷が連なり非常に美しい景色を楽しめました。
ちょうどギルギットやフンザの上空あたりでしょうか。パキスタンは最近は政情が安定しませんが、いつか行ってみたい地域の一つです。
この辺りでデザートと緑茶を注文した模様。デザートのメニューは写真を撮り損ねており、これが何だったのかは思い出せません・・・
食後はシートをベッドにしてもらって、しばし昼寝。
今までいくつかのエアラインのファーストクラスに乗る機会はありましたが、こういう個室型は今回のエミレーツが初めて。JALのスカイスイートやANAのスタッガードのビジネスクラスも個室感が高いのですが、やはりきちんとドアが閉まるファーストはプライベート感が別格です。
映画を見ながらしばらくゴロゴロした後、食事の時にクルーの方に「この便はA380ではないのでバーカウンターは無いのですが、前方に"ソーシャルエリア"があるのでもしよければどうぞ」と言われていたのを思い出し、ちょっと行ってみることに。
ソーシャルエリアというのは、何のことは無い只のギャレー前のスペースなのですが、スナックやドリンクが置いてあり、自由に取っていいことになっています。最上段には、普通に買うと1瓶70,000円以上はするであろうヘネシーのパラディが鎮座。
せっかくなので、このソーシャルエリアで日本人クルーの方と少しお喋り。もうエミレーツで勤務して7年になるものの、ファーストが担当できるようになったのは昨年からだということで、ファースト担当はかなり狭き門のようです。確かに、今までビジネスに乗っていた時のエミレーツのクルーはフレンドリーである一方少しガサツな感じもしたのですが、今回はそれを全く感じませんでした。
また、エミレーツの内規で、日本線には必ず日本人クルーが6名は乗務することになっているとのこと。これなら日本語しかわからない団体旅行の人たちでも安心でしょう。
その後、大連を過ぎたあたりで到着前の食事をもらうことに。
今回は和食の懐石料理を選びました。お盆から和な雰囲気です。
まずは小鉢類。
続いてメインの鰻の蒲焼とご飯、味噌汁。ご飯はさすがに日系に軍配が上がりますが、それでもどれも美味しい。
最後はフルーツでシメ。ザクロが載っているあたりは中東のエアラインを感じさせます。
ドバイからホルムズ海峡を渡ってイラン、パキスタン、カラコルム山脈から中国横断、韓国を越えて日本というルート。朝鮮半島に差し掛かるあたりまでは明るいので、ずっと外の景色を楽しめる良いフライトです。
それでも日本上空に差し掛かる時はもう真っ暗。これは名古屋の夜景。
着陸前に機内が暗くなると、ここでも星空が映し出されました。これは良いアイディアですから他のエアラインも真似すればいいのにと思うのですが、エミレーツの専売特許なのでしょうか。
出発は少し遅れたものの、定時で羽田に到着。到着ロビーにはファースト、ビジネス乗客が利用できる送迎サービスの運転手が一団になってネームプレート片手に待機していましたが、残念ながら私は特典利用のため対象外。おとなしくモノレールで家路に着きました。